映倫の基準も時代と共に変化しているようですが、いつも思うのはその変化を観客は後追いで知るという事。ちょうど16年前に「フローズン・タイム」という作品を観た際に、女性の局部にボカシが入らない事にちょっと驚いた覚えがある。そして本作においてはついに男性器すらそのままスクリーンに映し出されていた。

 

原作は「ゴシック小説」なるカテゴリに属するらしい。女性を主役にした令和版(?)フランケンシュタインのような物語。

反面教師にもならない醜悪な男共に囲まれながら、主人公ベラが正しく自我を育成していく過程がどうにも安直に思え、この寓話じみたお伽噺を私は好きになれなかった。

猿のようにやりまくる、情緒の無い性交シーンの連続にもうんざり。かつての「エマニエル夫人」を思い起こさせる、時代錯誤な女性解放の物語としてセックスを利用しているだけに思えた。

 

アカデミー賞11部門にノミネートですか。この内の監督賞と作品賞のオスカー受賞はありえないと断言したい。

 

日付:2024/2/1
タイトル:哀れなるものたち | POOR THINGS
監督:Yorgos Lanthimos
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN7
評価:5