私の映画人生の中で、劇場で観なかった事を後悔した邦画の筆頭に挙がりそうなのが「その男、凶暴につき」。口数の少ない、映像で語るその演出に惹き込まれた覚えがあります。

 

北野武監督の最新作は、これまで彼が散々撮ってきた極道映画に欠かせない「xxの首、取ってこんかい!」という台詞を地で行く時代のお話。信長(何故だかこの人だけお国訛り)、秀吉、光秀、家康、その他戦国武将たちの駆け引きと化かし合いを、ここ最近の大河ドラマの数々でも何度も登場した日本人には馴染み深いエピソードと共に描いた本作。随所にゾクッとさせるシーンがあって、それに出くわす度にこの監督の才に直に触れているようで怖くなる。庵野秀明監督なんかもそうですが、センスの塊のような演出。

 

当然の事ながら史実通りに話は進み、その解釈も時流に沿う中での面白味の創出。歴史に縛られながら、北野監督と戦国武将がタッグを組んだような作品。カンヌでは上映後にスタンディング・オベーションで迎えられていましたが、日本の歴史を知らない外人さんがどれだけ話に付いて来れているのかしらとは思ってしまいました。

是非、なるべく大画面の劇場での観賞をお勧めします。

 

日付:2023/12/2
タイトル:首
監督・脚本:北野武
劇場名:シネプレックス平塚 screen6
評価:6