PARCO劇場2016/08/04


ショーガール 」が見納めかと思ったPARCO劇場でしたが、8月7日の現PARCO閉館直前にもう一度訪れる機会を得た。日本では1990年にこちらの劇場で始まった「ラヴ・レターズ」が休館前の公演のトリを飾る事になり、26シーズン目の今回、通算464回目の読み手として伊藤蘭さんが登場。

蘭さんのお相手は風間杜夫さん。二人とも今回が初参加と知って、ほぼ日替りで演者が替わるこの朗読劇がこれだけ長く上演し続ける人気の秘訣を垣間見た気がした。


テーブルと二脚の椅子のみが配置されたステージ。上演前から静粛と上演中の出入り禁止を念入りに客に要求する劇場スタッフ。

26年も続く人気の朗読劇なのですが、冒頭の宛名を聞いてこの作品が翻訳物である事を初めて知った。アンディとメリッサ、幼馴染の二人が人生を通じてやりとりし続けた手紙に詰まった友情と愛憎と絆とを、二人の俳優が自分色に染めながらその人生に寄り添ってゆく。

手紙を介してのキャッチボールは、昭和の青春映画的な青臭さも漂う。26年前には存在しなかった通信手段は、本作の演出に何らかの影響を与えているのだろうか?手紙というよりも会話劇に近いテンポにふとそんな素朴な疑問も感じつつ、何度か睡魔にも襲われながら、声の演技を楽しんだ。

蘭さんの朗読劇に足を運ぶのは「宮沢賢治が伝えること 」以来2度目だけれど、やはり抜群に上手い。この日は少々お鼻の調子が悪かったようですが、ファンにはたまらない美しい鈴の音色のような声色でメリッサを演じてくれていました。


しかしながらハートの刻印がついた赤い座席の座り心地は、息を殺して静かに聞き入る朗読劇にはちと辛いものがあった。

上演時間2時間(含休憩15分)。


日付:2016/8/4

タイトル:ラヴ・レターズ

作:A.R.ガーニー 訳・演出:青井陽治

劇場名:PARCO劇場

評価:★★★


ラヴ・レターズ