SING STREET


1985年のアイルランドは首都ダブリンが舞台。

あまり馴染みのない国ですが、90年代以降急速に成長を遂げているらしい。ただし本作はそれ以前の大不況に喘ぐ時代のお話。父親が失業しお坊ちゃま学校から荒れる公立へ転校を余儀なくされた14歳の少年が絶望的な状況から恋と音楽の力で未来を切り開く、男の子の成長の物語。


兄貴や姉貴がいるクラスメイトが羨ましかったのを思い出した。彼らは皆流行りの音楽やファッションに詳しくて、どこかませた雰囲気を漂わせていたものだった。

ロック好きの兄貴の影響をまともに受けるコナー少年が学友たちを引き連れて始めるバンド活動。コナーの兄貴と同世代の私にとって80年代のUKチャートは懐かしさMAXですが、それ以上にSING STREETのオリジナル曲が心に響く。学校の理不尽な指導や家庭不和や恋心といった身の回りの出来事から生まれ出る彼らの音楽。ジョン・カーニー監督がゲイリー・クラークと共に提供するスコアが瑞々しくてキュンキュン胸に迫る。

兄がコナーに諭す「Rock N Roll Is A Risk」という台詞を「ロックンロールには覚悟がいる」と訳したのは石田泰子さん。いい訳だなぁ。


そのラストは70年代にトロッコに乗って駆けて行ったダニエルとメロディを彷彿とさせた。彼らの未来に幸あれ。
センスの塊のようなアップテンポな演出と心に響くサウンド・トラックの数々。ジョン・カーニー監督初体験ですが、いや参った&これまでの作品を観逃している事を後悔。今年度のベストムービーがほぼ確定したかもです。サントラもiTunesで購入しちゃいました。


日付:2016/7/15

タイトル:シング・ストリート 未来へのうた | SING STREET

監督・脚本:John Carney

劇場名:ヒューマントラストシネマ有楽町 シアター2

評価:★★★★


SING STREET

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