少年少女の恋の逃避行といえば、私の世代は「小さな恋のメロディ」のクライマックス。当時小4だった私は胸を熱くしながら、トロッコを漕ぐ二人の行く末を思い描いたものでした。
この年頃だとどうしても女子の方が心も体も成長が早い。メロディがダニエルよりも大人びていたように、この作品でもスージーに比べてサムは随分と幼い。にもかかわらず彼女を必死にリードする、その様子を真面目に描けてるかどうか、これが肝心なのです。
少々"規格外"な男の子と女の子が二人で企てた脱出劇。子供達を持て余す大人連中を面白おかしくステレオタイプに配置しておきながら、どんどん人間味が増してゆく。この世界を確かなものにする為に、名優達が脇に徹する。中でも唯一の理解者であるシャープ警部を演じるブルース・ウィリスが、本っっ当に良い味出しまくっている。
そのクライマックスは東映アニメ「長靴をはいた猫」を思い出してしまった。ウェス・アンダーソン監督初体験ですが、映像も演出もかなりクセがあって最初戸惑いました。けれどこの物語の住人にさえなれれば、とても楽しい作品。エンディングの音楽も素敵だった。
奇しくも「どうして二人で一緒にいちゃいけないの?」というセリフまで飛び出した本作品。我が青春のエバーグリーン的作品の中のあの子達にも久し振りに逢いたくなった。「午前十時の映画祭」でそのうち上映してくれないかなぁ・・・・
日付:2013/2/17
タイトル:ムーンライズ・キングダム | MOONRISE KINGDOM
監督・共同脚本:Wes Anderson
劇場名:シネプレックス平塚 シネマ3
評価:★★★★