不動産屋と古本屋 | 大井なる幻影

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南関競馬、特に大井競馬場ファンの筆者が,所属馬や

騎手について、また大井競馬場の楽しみ方をご紹介

します。

我が家は引っ越しを考えている。今の家を売って、どっかのんびりした所で暮らしたいと思っている。どうせ、やることは競馬だがね。で、毎週のように不動産屋とお話をしている訳だが、一方では家の整理も始めていて、最初に手をつけたのが膨大な量の本である。
これをこまめに古本屋へ持って行くのだが、この「古書」を商いとする人は、全てが全て、誰一人として明るい人がいない。全くもって、人生後ろ向きな感じの人ばかりである。
昔から古本屋には買いにも行くし、売りにも行くが、たいていの本屋は、買う本を差し出すと「ええ、こんな本買うのかい」というような顔をする。懇意にしている本屋でさえ「これ、いくらです?」「いやあ、生意気な値段つけちゃってね」などと言われる。懇意というのは、こちら側の思い込みで、あちら側は何とも思ってないのかもしれない。
古本屋というのは、カテゴリーがあって、文学的なところや、アート的なところ、カルチャー的なところなどあるから、こちらも持って行く本屋を分けている。「荻原朔太郎自筆原稿」など置いてあるところにビジョネアなんか持って行ってもしょうがないし、そういうところに源氏物語全揃いなど持って行ってもしょうがないからだ。町医者と一緒で、なんでも見ますが、一番上に書いてあるのが
得意です・・みたいなもんである。
しかし、どこへいっても雰囲気はそんなに変わらない。「やる気」無しの気分である。
で、売りに行くと、たいていの本屋がこう言う
「今ねぇ~本も売れなくてね」
「これはどうですか?」
「これも、今は動かないね」
という。
どんなジャンルの本を持って行っても
「今はね~と言われる。
本は売れない、本は売れないというのなら、「あんた、なんでこの商売やってるの?」と聞きたくなる。「さっさと商売を代えて、儲かる仕事をやりなさいよ」と言いたくなる。
そういうときには、さらに、先ほど家に来た不動産屋の言葉が耳に響くのだ。
「◯◯様の土地は、ワタシが自信を持って高く売りますから。安心して下さい」
実に面白い。
これが、逆だったらさらに面白いではないか。

古本屋「◯◯様のこの本をですね、ワタシが自信を持って高くお売り致します」

不動産屋「この土地ね~昔は売れたけど、今は難しいね~」

こんな不動産はすぐにつぶれるだろうが、古本屋はこんな感じでも商売になってしまうのが、よくよく考えれば不思議である。
だいたい、よくよく考えれば学生時代にバイト代を溜めて、やっと買った本を「これね~」と言われるのは心外だ。蔵書だって、土地と同じくらいの財産なのだから。
やっぱり、古本屋は世の中に甘えているのが多いんじゃないかい?
聞いてるか~い?
近所のお兄さん~