石垣りん それでよい | Whistle Stop Cafe Ⅱ

Whistle Stop Cafe Ⅱ

Les Aventuriers Deuxième étape

         石垣りん


石垣りんの詩集も、そばにおいておきたい。
この詩を読んだ時も、表札や名札など、そこに拘るか・・・
常人には偏屈と見えても、これは一種の矜持とその先にある
達観がみえ、そこまでいけばどこかユーモラスでもある。
さりとてであある。

 

様も
殿も
付いてはいけない


石垣りん
それでよい


この人のこのキレはいつだって
名前の通りに凛としている。
タイトルでも笑える。

好きな詩である。

 

 




いつもろくなことはない

                      石垣りん
病院へ入院したら
病室の名札には石垣りん様と
様がついた

旅館に泊まっても
部屋の外に名前は出ないが
やがて焼場の鑵にはいると
とじた扉の上に
石垣りん殿と札が下がるだろう
そのとき私がかばめるか?

様も
殿も
付いてはいけない

自分の住む所には
自分の手で表札をかけるに限る

精神の在り場所も
ハタから表札をかけられてはならない
石垣りん
それでよい