ケンとメリー 「愛のスカイライン」BUZZ | Whistle Stop Cafe Ⅱ

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Les Aventuriers Deuxième étape






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CMに出演していたハーフのような若い男女と、その二人に寄り添うように歌いあげるBUZZの有名な『ケンとメリー~愛と風のように~』(CMの中では「愛のスカイライン」)という曲はいつかどこかで聞いた事のあるメロディーだろう。
”ケンとメリー(略してケンメリ)のスカイライン”なるキャッチで押した
ひ弱さともいう繊細さを織り込み済みで制作した、確信の良く出来たCMである。

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このケンメリのスカイラインであるが、
スカイライン歴代史上最も”ナンパな”記念すべきモデルである。
流れるようなラインと言われても、フェンダーからCピラーに至るラインに
箱型のフロントマスクは、アメ車のコンプレックスがまだ残っていた頃。
アメリカ市場をターゲットにしたようなセフィーロや、
欧州車のBMWやメルセデスの小型車に刺激を受けて、プリメーラという
FFのニッサン欧州車仕様が登場するまでスカイラインの呪縛は延々と続くのである。
約束の丸い輪っかのテールランプはスカイラインのアイデンテティというが
これはフェラーリのオリジンである。ランチャやフィアットなど
イタリアのクルマがそのデザインのルーツである。
今でもスカイラインこそがマル輪テールのオリジンと
勘違いしている、団塊のおっさんが多いような気がする。
ま、早い話、”汗臭くガチガチの硬派一辺倒じゃ、女の子にもてないではないか。”
というマーケットの突き上げから、助手席に女の子を乗せても
快適な仕様に著しく舵を切ったモデルと言える。
この後大ヒットするトヨタのソアラや、ホンダのプレリュードのような、
デート車を煮詰めが甘いままゴーサインを出したわけだ。

末代のセドリックもそうだが、大きくて、サスもアメ車ばりに制動が決まらず、
ふにゃふにゃとしたおよそ箱スカと呼ばれる、プリンス・スカイライン2000GT-R
の末裔とは思えないナンパさであった。
これを教訓に少しずつ、カチッとした精悍な車へと進化はするのだが
それもここ10数年前からのことで、適当なとこでやめれば良いものを
市販車のレベルを通り越してR34を経て、現GT-R(R35)というモンスターマシンへと進化したのはいいが、誰
がどこで乗るのだいう車になってしまったとい極端さがこの会社の特徴。(尚GT-Rという特化した車種名により、スカイラインと言う名前は事実上消滅した)
レースに強くても市販には弱く、この頃から今でも商売上手な西三河の会社にいつも先を越されていたのだ。

さてCMに使われた曲を歌うBUZZは、確か二人組のグループ。
この1曲のその後の彼らを知らないが、現役なのだろうか。
ブレッド&バターなどと同じ路線だろうが、
これらのルーツはアメリカのスタジオミュージシャンが集合したブレッドにも近いし
クロスビー、ステイルシュ&ナッシュ(ヤング加入には、まだの頃である)
それに影響を受けたアメリカ、もしかするとザ・バーズあたりが目指す本線かもしれない。
いずれも、そのハーモニーが売りである。
当時、あるコンサートで数曲歌ったのを聴いたことがあるが、
どうも眠たいようなメリハリのないような印象しかない。
たぶん、脇役に回るかスタジオレコーディングで生きるグループなのだろう。
現にCMで使用された曲はザ・バンドのような深いタメを効かせたシンプルなリズムと
さわやかなハーモニーが良くブレンドされたサウンドが、
地平線の先にあるものを想像させるに十分な佳作となっているのだが・・。

ただCMでの爽やかにして、多感で繊細そうなカップルが、
CMプランナー的なイメージが地平線の向こうの二人の未来と無理に思わせても、
現実には飯も食えば、ガソリンも食うのだ。

『愛のスカイラインで向かう先はどこなの?』と意地の悪い事を聞きたくなるCM
無粋過ぎたか。
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ケンとメリー~愛と風のように~ スカイライン CM (1972年)