その606 | 大鐘 稔彦のブログ

その606

☆一か月ぶりのブログになってしまった。書きかけの原稿の執筆に追われていたせいだ。締め切りがあるわけではないからのんびり書けばいいし、実際一日精々2枚程度しか書けないのだが、それでもまだ仕事を持っている身には結構タフな時間を過ごしてきた。

 何を書いているかといえば、若い日に心を揺さぶられた名画とその主演スターたちの思い出だ。無論記憶が薄れている。ストーリーの展開もどうであったか、おぼろげになっている。必然、もう一度見直すことから始めなければならない。最も記憶に残っているのはヒッチコック監督作品、ジェームス・ステュワート、キム・ノバック主演の「めまい」、多くの映画評論家が世界映画史上ベスト5に選んでいる作品で私も異存はないが。サスペンスだけに難解な点がある。今回改めて見直し、いくつか腑に落ちない点を見出した、これは絶対に書いておかねばと思ったものだ。

 映画は文学とともに多感な青春期の悩み、相克から幾度も救い出してくれた。八十路にしてしみじみと思いだし、今また新たな感慨に浸っている。来年には一冊の本にして皆さんにお目にかけたい。

☆麻生副総理が訪米し、こともあろうに目下裁判で法廷に出頭を強いられているトランプと会談した。なぜこんな差し出がましいことをするのか、岸田さんはこれを容認したのか、首をかしげざるを得ない。いや、魂胆は分かっている。トランプが万が一大統領選に勝った時に備えての布石であると。ついこの前岸田さんがバイデンと会談したばかりではないか。日本政府のこの日和見主義にはあきれる。中曽根元総理は「風見鶏」と揶揄されたが、岸田さんも麻生さんもその口で嘆かわしい。秋の大統領選を見据え、結果が出てから行動すればいいではないか。

☆自民党に鉄槌とまではいかないが、天罰が下った。3か所の補選ですべて立憲民主党に議席を奪われた。政治資金集めのパ^ティー問題が根深く響いているのだ。一国の梶取を担う国会議員が金銭問題で指弾を浴びることほど情けないことはない。公務にあずかるものは金銭に淡泊でなければならない。

☆ 人の命を預かる医療者もまた然りだ。だが、残念ながら経営本位の病医院が少なくない。必要とみなされない検査、通院を強いる医者がいる。前立腺がんでホルモン療法を受けている82歳の隣人がいるが、朝の散歩でたまに会うと、その愚痴を聞かされる。病状は落ち着いているから、私なら通院は精々3月に一度で可とするが、N病院の医者は毎月通わせ、そのたびにもう安定している腫瘍マーカーの検査をするというのだ。彼は運転免許を持っていないから70代後半の奥さんが送っていくのだが、毎回3時間待たされ、ようやく呼ばれたと思ったら、変わりのない検査結果を聞くだけで診療は1分で終わり、注射は半年に一度でいいからよしとして、検査や薬はもう阿那賀診療所でもらいたい、と訴えても、いや、私が診ます、と言って承知してくれないという。本当に3時間待ちには参っちゃいますと奥さんも嘆いている。

 この夫妻は私のところへ高血圧で毎月通っているから、ホルモン剤を出し、たまに検査をするのはやぶさかではない。N病院の過剰診療にはそのうちクレームを入れるつもりだ。

☆金の問題は政治や医療機関ばかりではない。

 私はゴルフ番組を週に一度は見るが、残念ながらコマーシャルが頻繁に出てくる民放でなければ見れない。よく出てくるコマーシャルにソニー損保のそれがある。ひところは役所広司がごますりもいいところの宣伝マンになっていた。以来、この俳優に嫌悪を覚え、彼が出てくるとトイレに立つことにしたものだ。

 10年前、隣人のMさんが、義理の娘だが彼女がこのたびソニー生命に入社したのでご挨拶したいと言っている、というので彼の家で娘さんに会ったのだが、挨拶もそこそこに彼女が切り出したのが、会社の新しい商品で、今好評を得ているものがあります、、よろしければ、という話だった。Mさん宅にはよくお邪魔し、彼が自宅で催すミニコンサートににも参加して馳走にも預かっているので断り切れず、その年金保険に入った。信用金庫に預けている金の金利はたかが知れていて畳貯金のようなものだからまあいいか、といった軽い気持ちだった。彼女の説明では、商品は12年据え置きで、満期時には105パーセントを返却するが、それまでにもボーナスが出ることもあるから楽しみにしてください、というものだった。しかし、待てど暮らせどボーナスらしきは一円たりとも出ない、しびれを切らしていい加減解約したい気になっても、送られてくる葉書を見ると、解約すれば50万ほどの損失になる。人気商品などというのは眉唾物だ、とんでもない悪徳商品だと気づいた。テレビに高いコマーシャル料を払うゆとりがあるなら、年に一度でも気の利いたものを贈ってくるべきではないか、とクレームを付けたが、申し訳ありません、の一点張り。不安になって、満期時には本当に105パーセント返ってくるんだろうね、と問いただすと、これがまた煮え切らない返事で、その時の状況によります、100パーセントは確かですが、と来た。それじゃー畳貯金と一緒じゃないか、詐欺も同然だよ、とこちらは声を荒立てる。しかし、相変わらず、申し訳ありませんの一点張りだ。そうこうするうちに10年が経ってしまい、気が付いたら八十路になっている。Mさんの娘は、当初は商品をよく売ったということで社内表彰を受けたそうだが、数年後に早々と退社してしまった。

☆生命保険会社も銀行も、いざとなればやくざに変貌する。

 かつて責を担った病院で、それを思い知った。バブル期に開院したが、ほどなくバブルがはじけ、病院のオーナーAは運資金に困窮した挙句、私に生命保険や銀行の定期預金を担保に金を借りてくれと迫ってきた。院長が手術中にや緊急で実印をお借りしなければならないこともあるから実印を預けておいてほしい、私はエホバ教徒でクリスチャンですか信用してほしい、いうAの言葉を信じたのが浅はかだった。知らぬ間に私は何億もの債務者になっていたのだ。日本生命や銀行から借りた金の金利は病院で支払いますから安心してください。とAは言ったが、その舌の根が乾かないない先にAは支払いを止めてしまった。その翌月から、生命保険と銀行から、やいのやいのの電話が私にかかるようになってきた。私には支払う義務などない、と返すと、あんたが借金の債務者だろう、払わなければ資産を差し押さえるだけだ、と、それこそやくざまがいの口調で怒鳴り散らす。

まさに生き地獄の日々だった。銀行も生保の人間も一皮むけばやくざとなることを思い知った。ソニー生命も分からない。皆さんはくれぐれも甘い言葉に誘われませんように!