その604 | 大鐘 稔彦のブログ

その604

☆明日は彼岸の入りだがあいにく天気は悪そうだ。土曜日は午前中のみの診療で20名の患者、そのうち、前日に引き続いてコロナとインフルエンザの陽性者が一人づつ出た。幸いいずれも軽症に過ぎていて、普通の風邪程度で収まっている。インフルエンザは当初は専らA型だったが、先月以来罹患者は皆B型だ。

☆コロナの後遺症で一年近く苦しんだ那須の友人からまた電話がかかった。37度台後半の熱が続いて体がだるい、食欲がない、と。かかりつけ医(内科)に行ったらおしっこが汚れている、膀胱炎だろうということで抗生剤を処方されたがいっかな治らない云々云々。それは見立て違いだよ、と返す。男性に膀胱炎は珍しいが、むろんなくはない、しかし膀胱炎で熱が出ることはない、多分腎盂炎だと思うよ、と。再度かかりつけ医を訪ねたがやはり同様の見立てだと言う。いやそれはちがう、ちゃんとした病院でセカンドオピニオンを求めた方がいいよ、と勧める。

 数日後、彼からまた電話がかかった。元気そうな声だが、実はやや遠方の病院に入院してそこからかけている、と。あなたの見立て通り腎盂炎だった、原因は膀胱尿管逆流症候群で、左の腎盂が腫れあがっている、朝夕抗生剤の点滴で落ち着くのを待っているところだ、と。

腎臓は左右二つあるが、腎盂炎が両腎に発症することはまずない。腎臓は腹膜の裏、つまり後腹膜空の腰に近いところにあるから、いずれかの腰をたたけば、ひどい場合は飛び上がるほどの痛みを覚える。診断の決め手である。膀胱炎で熱が出ることはないし、排尿痛、残尿感等の膀胱炎に特有の症状は抗生剤の投与で早ければ一日、長くても二三日で治る。泌尿器科医でなくともこれくらいのことは知っていてしかるべきだが・・・・。

☆茶番劇のロシアの大統領選挙が始まっている。民主主義の根幹とされる選挙もこの国に限っては単なる形式に過ぎない。プーチンが当選することは明らか、彼が気にしているのは国民のナンパ―セトが投票所に足を運んでくれたか、つまりは投票率だ。彼が亡き者にした政敵ナワリヌイ氏や、未亡人となったナワリヌイの妻、さては、立候補を阻害された反プーチンの候補者は、まやかしの選挙に行くな、行っても白紙で出すようにと訴えた。その勇気を讃えたい。