その603 | 大鐘 稔彦のブログ

その603

☆ロシアのプーチンの政敵ナワリヌイが、極寒のシベリアの刑務所で亡くなった。大統領選を前にプーチンには入れるなと刑務所からも訴えていただけに、さぞかし無念の死だったろう。

 数年前、ナワリヌイはプーチンの回し者によって毒殺されかかった。奇跡的に一命をとりとめたが、それもつかの間、国家反逆罪とかなんとか政権側の勝手な口実で逮捕され、刑務所に収監されていた。

死因は「血栓症」と政府は発表したが、真偽のほどは分からない。

☆2021年のノーベル平和賞はロシアのドミトリー・モロトフに与えられた。政府に批判的な独立系新聞≪ノーバヤ・ガゼータ≫の編集長だ。プーチンはウクライナに侵略した己に批判的なこの新聞を敵視し、国内での活動ができなくなるよう圧力をかけた。本当はモロトフを抹殺したいのだろうが、さすがにノーベル賞受賞者を手にかけたら世界中からブーイングが起こることを懸念して手を出せないでいる。

 モロトフはその風貌からしても誠実な正義漢だ。彼はノーベル賞のメダルを外国のさる有名なオークションにかけ、彼の活動に共鳴する人たちが協力して落とした大金をウクライナの支援にそっくり回した。

狡り卑劣なプーチンは、彼に対抗して立候補を表明した人物が一部の熱烈な支持を得てきていることに危機感を覚え、立候補に必要な10万票の署名簿を提出したにもかかわらず、これにいちゃもんをつけ、不備な署名簿が数千枚あったから無効と決めつけて立候補を諮問機関に却下させた。

☆選挙にまつわる為政者のこうした威圧的な干渉は、独裁者が長年居座る国々で見られる。中国、ミャンマー、イラン等々。

民主国家の代表とみなされてきたアメリカでも、トランプのようなおかしな人物が出てきて民主主義を破壊しようとしている。敗北を喫したこの前の大統領選に不正があったと散々クレームをつけて敗北を認めず、勝者バイデンに祝辞を送ることを拒んだ。日本と違ってアメリカは民主党と共和党が二大勢力でしのぎを削っており、大統領選はいつも接戦だ。しかし、敗れた候補者は潔く敗北を認め、相手に祝辞を送ってきた。さすがは民主主義国家、紳士の国と感心させられてきたが、トランプというならず者が現れてからこの良識は覆されている。無投票当選が目に見えていて選挙は茶番劇に過ぎない独裁国家はもうどうしようもないが、アメリカのそれは心配だ。憂鬱な日々が続く。