日本企業として異例のスピードでビットコイン(BTC)を買い増すメタプラネット。その裏側には、日本の税制と米国上場基準の間で「理論的に成立しない矛盾」が隠されているのではないかという疑念がある。
「特定譲渡制限付暗号資産」という魔法の罠
メタ社がBTCの巨額な含み益に対する課税を回避するために利用しているのが、2024年4月に施行された「特定譲渡制限付暗号資産」の特例。
目的: BTCを「ロック(譲渡制限)」することで、期末の時価評価課税を免れ、取得原価で計上し続けること。
法的要件: 単に「売らない」と決めるだけでは不十分で、技術的に動かせない措置(ロック)を講じ、JVCEA(日本暗号資産取引業協会)を通じて公表する義務がある。
「担保利用」と「譲渡制限」は両立し得ない。
ここが最大の論点。メタ社はBTCを背景にした大規模な資金調達や担保ローンを発表しているが、ここには重大な法的矛盾が生じる。
担保の定義: 担保とは、債務不履行時に債権者がその資産を「処分(譲渡)」できる権利を指します。
矛盾の正体
「特定譲渡制限」をかけて免税を受けているなら、技術的に他者へ移転できないはず。
なのにそれを担保にしているということは、いざという時に「移転(譲渡)」できる状態にあることを意味する。つまり、「譲渡制限付き資産を担保にする」ことは、税制上の免税要件を自ら破壊する行為に等しい。
日本での「脱税リスク」と米国上場の不整合もし、メタ社が免税措置を受けながら、そのBTCを担保に評価させているなら、それは以下のリスクを孕んでいる。
◯国内における違法性
免税要件(移転不能措置)を満たしていないと判定されれば、数千億円規模の含み益に対して一括課税される。これを意図的に隠していれば「脱税」の誹りを免れない。
◯米国上場の壁
米国(SEC)ではBTCの時価評価が求められる。
しかし、日本で「ロックされているから原価評価だ」と主張している資産を、米国で「いつでも活用可能な時価資産だ」として上場審査を通そうとするのは、二重帳簿的な不整合であり、投資家に対する「虚偽記載」となる可能性がある。
最後に
投資家が注視すべき「アキレス腱」メタプラネットの時価総額は、保有するBTCの価値を前提に膨れ上がってる。しかし、そのBTCが「税金を払わないためのロック資産(自由に使えない)」なのか、「活用可能な流動資産(巨額課税の対象)」なのか、この二者択一を迫られた時、同社のビジネスモデルは根底から揺らぐ可能性がある。
「特定譲渡制限」という節税の盾と、「担保活用」という資金調達の矛。この自己矛盾を日本の税務当局と米国証券当局がどう判断するかな?