大きな挫折感を味わっている時、どういうわけか自分は周りの人々がいてくれることの有難さを深く感じる。
これは、若い頃からそうなのだ。
おそらく、人間には生来、そのような習性があるように思う。
逆を考えてみれば、何事にも恵まれ、思い通りの環境にいつづければ、周りのお陰が見えにくくなってしまうのではないか?
絶望は希望を知らしめ、逆境は日常という順境のありがたみを痛感させてくれる。
自由を主張し、欲望と悦楽を享受しようとする。
しかし、その自由とは、単なるわがままであり、エゴイズムに陥る元凶に過ぎない。
「あらゆるものを奪われた人間に残されたたった一つのもの。それは与えられた運命に対して自分の態度を選ぶ自由、自分のあり方を決める自由である。」
外側ではなく、自らに由る高貴性に精神を向けなければ、自由にはなりえない。
そんなことを教わっているように思う。