ある店主にいい話を聞いた。
「ケツが温まったら店を出ろ。」
どういう意味かといえば、尻で席が温まったら別の場所で呑めということだ。
最近は、安い居酒屋が多くなったという。
安いものだから、安く呑んで長居する人も多くなったと聞く。
長居できるほど得、安いほど得。
て、本当にそうだろうか?
結局、自分の得ばかりを考えるほど損をする仕組みになっているのが天の法則だ。
お店の利益や回転数を気にすればこそ、席が温まるくらいまで飲み続けてはいけないという。
自分はお客という立場ではなく、お店側の立場になれば、当然、そうなるだろう。
逆に店側の立場から回転数やら利益率やらを計算されたのでは、お客としてたまったものではない。
こんな店、二度と来るかでおしまいになる。
要は、あうんの呼吸で世の中は心地良く成り立つ。
しかし、社会経験もほどんどない若い頃は、こうした人情の機微がわからないのが普通。
だからこそ、会社の上司、上役連中、大先輩のお年寄りが叱りつつも教えてくれたのだ。
ところが、そうしたオヤジ連中は、パワハラ、セクハラだとうざったがられ、プツンと教育の糸が切れてしまったのが現在。
こうした不条理を受け入れなくなるほどに、現在はとても息苦しい世の中になっていないだろうか?
個人の都合や利益に囚われずに公に生きようとするのは、決して面白いことではない。
しかし、とても気分がいいものだ。
この気分によって最終的に徳(得)が返ってくるように思えてならない。
世の中はあうんの呼吸で心地良いものになる。