滝沢洋一氏といえば8月のブログで楽曲被提供側の清野由美を取り上げた際に、名前とwikiのリンクだけ書かせてもらったが、実はこちらが一丁目一番地で今年からその音楽性を高さを確認している大本命なのだ
今回のトークショーでも紹介されていたが、この滝沢氏は「ニューミュージック」という言葉の名付け親であり、山下達郎と出会う前のドラム 故 青山純とベース 伊藤広規らとバンド「マジカル・シティー」を組み、今でいうシティポップのベース、草分けともいうべき音楽を今から40年以上前に演奏していたにも関わらず、著名なミュージシャンの活躍に隠れて近年まで殆ど注目されてこなかった伝説の音楽家なのである
Spotifyのサービスを使っている方は下記リンクからその後ソロ活動の期間に発表された彼の唯一のアルバム「レオニズの彼方へ」の音源をお聞きいただきたいが(せめて試聴だけでも)、今や世界中で流通しているJ-POPの源流とも言ってよいセンス溢れる楽曲が次々と現れる
イベントでは故人の遺族から提供されたアルバム以前に録音されたデモ音源や、他ミュージシャンへの提供曲という形で世に出たためお蔵入りとなった本人歌唱のオリジナルバージョンの音源なども紹介された
実は様々な経緯からやはりお蔵入りとなった滝沢氏の2ndアルバムが存在し、その音源の一部もイベントでお聞かせいただいたがその曲も含めてどれもさすが滝沢氏という感じの素晴らしい曲ばかりだった
トークショーのゲストコメンテーターである音楽ライターの金澤寿和氏が途中で発言していたが、音楽が陽の目を見るのは複雑な大人の事情をかいくぐって生き残った結果、謂わば「パズルのようなもの」であり、どれほど素晴らしい楽曲でも人知れぬ存在のままとなっている作品が多々あるのだという
その制作にかかわった有名著名なミュージシャンの素晴らしい演奏も当然表に出ることはなく、今ならデジタルデータの形で保存も容易だが、上記のような"黎明期"に録音したデモテープやマスターテープがやむを得ず廃棄されてしまい、歴史的価値のある音源が関係者の記憶上だけに留まるという残念なケースも想像以上に多いに違いない
シティポップブームが来なければもしかしたら本当にお蔵入りとなってしまった過去の作品が、今回のような形で関係者の手元から発掘されて紹介されたことにより、現在まで繋がっているJ-POPの潮流にあらたな価値を付与する動きを今後も歓迎したい