DO YOU SUPPOSE THAT I COME TO BRING PEACE TO THE WORLD? NO, NOT PEACE, BUT DIVISION.
FROM NOW ON A FAMILY OF FIVE WILL BE DEVIDED, THREE AGAINST TWO AND TWO AGAINST THREE.
FATHERS WILL BE AGAINST THEIR SONS, AND SONS AGAINST THEIR FATHERS; MOTHERS WILL BE AGAINST THEIR DAUGHTERS, AND DAUGHTERS AGAINST THEIR MOTHERS; MOTHERS-IN-LAW WILL BE AGAINST THEIR DAUGHTERS-IN-LAW, AND DAUGHTERS-IN-LAW AGAINST THEIR MOTHERS-IN-LAW.
突然のネタとなるが、アニメ「機動警察パトレイバー」の新作シリーズ"EZY"が来月5月から公開予定であり、それに伴うプロモーション企画として、先日までyoutubeで過去の作品が日替わりで放送中だった
その中で押井守が監督した劇場版2作も配信された
この「劇パト」版のうち、
93年公開の第2作は「戦争」をテーマとしたリアリティを追求した作品として、あまり売れなかったが当時一部ファンの間で話題となり、公開から30年以上経った現在でもテーマや描かれた世界の先見性など、アニメの枠に収まらない名作として位置付けられている
当然俺もこの映画の大ファンで、過去に数え切れないほど視聴してきたが、数ヶ月前の劇場においての4Kリマスター版のリバイバル上映にまで足を運んだほど、未だにお熱が覚めていない
さて冒頭の英文はこの作品に登場するある目的を持った「メッセージ」である
一応断っておくと、上記は新訳聖書 ルカによる福音書12章51-53節部分の引用であるが、この福音書は元々ギリシャ語で書かれたものだから"英訳文"は沢山あって表現がそれぞれ微妙に違ったりする
今回は劇場版2のLDのスリーブに印刷されている情報を転載したので、俺がどこかの聖書サイトを見てコピーしたものではなく劇中に登場した原文の正確な表記である
これに対する劇中に登場するキャラクター"南雲しのぶ警部"による訳文語りの台本セリフが以下だ
我地に平和を与えんために来たと思うなかれ。
我汝等に告ぐ、然らず、むしろ争いなり。
今から後一家に5人あらば3人は2人に、
2人は3人に分かれて争わん。
父は子に、子は父に、母は娘に、娘は母に
今回英文原文を初めてちゃんと見てあらためて思いを強めたが上記訳文の「3人は2人に、2人は3人に分かれて争わん」の箇所は誤解を招きやすい訳な気がしてならない(これは余談だが原文にある"嫁と姑の下り"がばっさりカットされているという個人的に衝撃的事実は、今回このネタでブログを書こうと原文の調べ物を始めるまで全く知らなかった)
この部分の趣旨は「5人家族であれば、3人対2人に(その組み合わせは別にして)分裂する」ということだ
ここでいう組み合わせというのは、父母対子供たちとか、父と息子2人対母娘などの人員構成の例ではないし、そもそも数の問題が本旨ではなく、訳文で「我」を名乗る神様の有り難い教えを守れるかどうかで、より広義ではキリスト教信者か否かで、双方の対立・分断が起こるから気をつけろ、というのことを指しているのである
ところが原文を全く意識してこなかったのが災いして、この訳文から俺は「3人→2人になる、2人→3人になる」と物理的な状況の変化が起こるとばかり思ってたので、一体これは何を象徴しているのだろうとずっと思い悩んできた
混乱をさらに複雑にしたのがその後の「父は子に…」の訳文で、全段の"数字遊び"のミスリードが頭から離れない俺にとってここも必要以上に真意を掘り下げて考えてしまい、結論のない悩みのネタになっている
で原因となっているのは原文で"AGAINST"という単語が導く「対比」を表現するのに訳文で使われている助詞「は」の使い方ということになるとようやく理解した
つまり訳文にスマートさや衒学的趣味を目指したのかは知らないが、"WILL BE DEVIDED"と"AGAINST"をくっつけて「分かれて争わん」とするなら、むしろ「3人と2人」「2人と3人」のように「と」を使ってくれていれば、原文を知らなくてもどれだけ本来の趣旨を理解しやすくなることか…
訳文の最後も原文通りなら「娘」と"子"ならぬ「息子」と両親との対立になるが、前述の混乱で、「子が"息子"のことを指しているとして、何故同性同士が争うことになるのか」という、意味のない疑問で長いこと頭はフリーズしっぱなしだったというわけだ
ではこの引用が劇中のストーリー展開、テーマとどうリンクしていたのか、これこそ今回のブログ上梓の目的であり難解が故に長年手を付けてこなかったネタである
記述内容を通じた少々のネタバレは覚悟の上、いよいよ後篇でそれに取り組んでみたい