今回は歌詞やアレンジの違いで曲調が大きく変わる事例を扱うことにした

題材はEPO の「赤い媚薬」という1984年の名盤「HI-TOUCH HI-TECH」への2曲目の収録曲だ

実はこの曲は1982年リリースの伊東ゆかりの「MISTY HOUR」というアルバムの収録曲「告白」のセルフカバーなのである

 

下記ブログ「EPOの砂場」に紹介されている内容によると元々EPOが用意したオリジナルの歌詞を竜真知子が手直しを入れて伊東版にしたものをEPOが気に入らず、自分のアルバムにセルフカバーとして収録する際に歌詞をやり直したというエピソードが書かれている

伊東版の編曲を担当したのは松原正樹だが、竜による叙事的に紡がれた詞の進行に乗せる伊東の歌唱に合ったマイルドでクセのない(アルバム全体のコンセプトが有ってのことだと思うのだが)ややファンキーとも取れる仕上がりだが、それに比べて清水信之がアレンジを担当したEPO版は彼女が当初から望んだであろう男女の深まった叙情を抉るような言葉遣い詞の世界に合わせてグッとエッジを立てた曲調に変貌していて味わい深い

 

きっと知らないだけでこうした曲の改変というのは珍しくないのかもしれない

本来ならばお蔵入りになる上記のようなエピソードが世に出るための条件はEPOのように作り手の矜持次第なのだろう