普段からこーせいあーせいって常に正しい指針を神様が示してくれたらどんなに楽な人生だろうって、誰でもちょっとは考えたことあるだろう

逆にそれは自由意志がなくて、確かに楽かもしれないが思ったほどは味気ない人生かもしれない

自由意志といえば、最近は「世界線」なんて言葉が関連ワードとして巷で流行っているようだ

要は、時間軸の次の瞬間の選択をどんな些細な差でも自ら変えることによって、それまでの流れに抗わずにただ「乗っかった」時と時間の流れが変わる現在世界のパラレルワールドのことを指す言葉だ

あそこで立ち止まっておけば違った展開だったかもしれない、などのように現実逃避の思考を「言葉」巧みに肯定しているともいえる

 

当ブログでも紹介済み、最近読んだテッドチャンの短編集にもこの世界線を扱ったとても面白い話がある

ネタばれ承知でざっくりと要約すると、その短編の世界では、「予言機」と呼ばれるデバイスが一般に普及している

そのデバイスの操作と得られる結果は非常にシンプルで、デバイス表面にあるボタンを押そうとするとその1秒前に必ずデバイス上のランプが緑に光るというもので、これはどんなに策を講じても逃れられない絶対運命として描かれている

デバイスを操作するユーザーの意思が全く意味をなさない、つまり自らの未来全般において自由意志などは存在しないという事実を突きつけられた結果、そのユーザーの多くは精神不調に陥り自発的な行動をやめてしまう

仮に改善のための医師のカウンセリングを受けても「でも、今は知ってるんです」という趣旨の発言を最後に「無動無言症」に罹患するというのだ

 

様々な情報が溢れ、難局を乗り切る判断と対応の連続に結構疲れている人(俺を含めて)が周りに多いと感じているが、そんな時は自分の意思がどうであれ結果的にいい方向へ神様仏様に導かれたい、そんな需要が先の世界線ブームを後押ししているように思えてならない

残念ながらそんな風に良い所取りできるほど、世の中都合よくできていない