難解で挫折者が後を絶たないと聞くイーガンの著作の文字通り入門書として、吟味の末に選んだ短編集である
以前も書いたが、普段全く小説を読まない俺が、何故か何年かに一度喉が乾いて飲み水を欲するように手に取るのがSF物である
コロナ禍で在宅の時間が伸びたこともあり、この2ヶ月の間にクラークの古典SFを2冊読破し、加えて本ではないが「インセプション」で映画館へ足を運び、そしてこのイーガンと、まさにSF漬物の過剰摂取というこれまでに無かった展開が訪れている
さてSF物の醍醐味とは何であろうか
ある方の言葉を借りると、物理的制約に囚われない発想の自由さと科学が纏う知的雰囲気だという
成る程、中々的を得た理由かなと思うが、まさに現在はこの物理的制約が好むと好まざるに関わらず世界的に猛威を振るっている事態が続いている
俺のSF偏重は言い換えればこの事態からの現実逃避なのではないか、と思えば、数年に一度これに類したストレス発散を目的としてこれまでSF志向が発動してきたのかと思い、人生振り返りの契機を棚ぼた的に受領して感慨深いなと評しているところだ