ある日のあるファストフードの店


自分から見て二つ隣の席に
小学校中学年位の男の子が1人で
忙しく入ってきて座った
とたんに手に持っていたマンガ雑誌を
見開きページあたり2秒もかからない位の
スピードで慌ててめくっていく
描かれた絵の内容や筋を追うことに
必要な最低限の時間といった感である
マンガの作者にしてみれば
苦労して書いた作品が、そのように
流し読み?されていくとしたら、悲しいに
違いない


しばらくすると注文した
ドリンクとフードが席に運ばれて
ここでも、さして味わうことがなさそうに
しかもマンガから片時も目を離さずに、
まさに機械的にそれを胃に納めていく
といった様子だった

この日は日曜日だったので、察するに
どこかの塾の帰りに小腹が空いたので
半ば日曜日に習慣化している買い食いで

ここへ立ち寄ったといったところだろう


すべてのこの学年あたりの子が
そうだとは思えないが、きっと
家に帰ったら帰ったで、この子の日常は
この日の光景と同様、スピード感に
あふれているだろうと、容易に想像できる
(塾のテストや入試が新年早々に
控えている、という場合があれば尚更
だ)
まだ子供だし、小さなうちは落ち着きが

ないのは仕方がないことだとは思う
しかし、近年の学級崩壊のような事例が
そこに属する生徒自身の、例えば

行為障害などの病理的理由か、
あるいはその生徒の家庭のしつけが
問題の根とされるような場合、
この子が発揮するスピード感は
そのどちらによるものかと
不謹慎だが勘ぐりたくなってしまう


総滞在時間はおよそ30分くらいか、
彼は自分より先に退店していった
彼がゆっくり文学、哲学などの本をお茶を
すすりつつ優雅に読むことができる日が
くるのはいつのことであろうか?