「韓国で話題の「粉砕肋軟骨注入」、本当に大丈夫?
最近、韓国のSNSで話題になっている症例があります。
それは、自家肋軟骨を細かく砕き、注射器で鼻へ注入する方法です。
大きな傷が不要で、ダウンタイムも比較的短く、
「日常生活への復帰が早い画期的な方法」と紹介されることもあります。
(出典 dotoromyのスレッド)
しかし、今回ご紹介するCT画像を見ると、
別の視点も見えてきます。
CTで白く映っている部分。
実はこれらは石灰化した粉砕肋軟骨です。
*韓国で有名なコゼルコ手術とは異なります*
見た目だけでは分かりませんが、
将来的に再手術が必要になった場合、大きなハードルになることがあります。
粉砕肋軟骨のメリット
代表的なのは、
肋軟骨のワーピング(鼻が曲がる)が起こりにくいこと。
通常の肋軟骨移植では、
時間の経過とともに軟骨が曲がってしまうケースがあります。
しかし粉砕してしまえば、
一本の軟骨として変形することはないため、
ワーピング自体は起こりにくくなります。
実は昔から研究されてきた方法
粉砕軟骨を利用した鼻形成は、
実は最近始まった技術ではありません。
昔からさまざまな方法が考案されてきました。
① Turkish Delight法
代表的なのがTurkish Delight法です。
細かく砕いた軟骨を
Surgicel(医療用吸収材)と混ぜ、
鼻へ移植する方法です。
しかし、時間が経つにつれて
軟骨が吸収されやすいという報告もあり
長期的に見た場合の結果については、今も議論が続いています。
② Daniel法
その後、アメリカのDaniel医師は、
粉砕軟骨を自家側頭筋膜で包み、
鼻へ移植する方法を発表しました。
注射器を使って粉砕軟骨を筋膜の中に注入し
それを鼻背に移植する方法です。
一方で、この術式にも課題があります。
・側頭筋膜を広範囲に採取する必要がある
・採取部の傷跡や脱毛のリスク
・袋状に注入する構造のため、
自由な形状を作りにくい
などが指摘されてきました。
③ Tasman法
こうした問題点を改善する目的で、
2013年にスイスのTasmanらは、
医療用組織接着剤(tissue glue)を粉砕軟骨へ散布して固め、
そのまま移植する方法を報告しました。
この方法では、
従来よりも鼻根部だけ、鼻先だけなど、
必要な部分だけを立体的に形成しやすい
という特徴があります。
使用される組織接着剤は、
外科・脳神経外科・胸部外科などで
約30年以上にわたり、
止血や組織液漏出の防止目的で使用されてきた医療材料です。
それでも知っておきたいこと
どの術式にも、それぞれメリットとデメリットが存在します。
そして最も重要なのは、
「将来、修正手術が必要になった際にどう対応できるか」という視点です。
今回のCT画像で白く写っている「石灰化した粉砕肋軟骨」は、
初回手術では問題がなくても、
再手術の際には除去や再建が難しくなるケースがあります。
だからこそ、「傷跡が小さい」「ダウンタイムが短い」といった
表面的なメリットだけでなく、
長期的な安全性や再手術のしやすさまで
見据えて術式を選ぶことが極めて重要だと考えています。
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