⬛2025(令和7)年4月26日(土) 晴
名古屋に60年以上住んでいながら、知らない場所、行ったことがない場所が多いことを実感します。
天白区の徳林寺にベトナム製の梵鐘と鐘楼があったこと、南区の柴田水処理センターの屋上が庭園になっていたこと、名古屋港にモアイ像があったこと、港防災センターという施設があったこと。
いずれも昨年初めて知りました。
こうしたスポットを巡る探訪あいちを企画しました。
題して、Let’s look into the deep NAGOYA.
「look into」は、「調べる」「調査する」「覗き込む」といった意味です。ディープな名古屋を、少し手間をかけて知るサイクリングに出発しましょう。
まずは、天白区の相生山に向かいます。標高10mから60mの3つの台地と2つの谷筋から成り立つ起伏に富んだ地形に広大な雑木林が広がっていて、名古屋市とは思えないような自然景観を残しています。
<葉書塔>
葉書塔(葉書供養塔とも言います)は、相生山の森の中にひっそりと建っています。この塔には昭和2年新愛知新聞社(現在の中日新聞社)が愛知県の新十名所を募集したときに集まった850万余枚の投票葉書が収められました。
私が小学生か中学生の頃、「不幸の手紙」という、郵便を用いた悪戯行為がありました。「これを受け取った者は、同じ内容の手紙を一定期間内に不特定多数の人物に送らないと、何らかの不幸に遭う」という内容の手紙または葉書を、不特定の相手、もしくは意図した相手に送って、さらに他の相手へ送ることを促すものでした。これが流行したとき、手紙や葉書をこの葉書塔に収めた人もいたようです。
今は投函口が封鎖されていて、葉書を入れることはできません。
塔のそばには、この地が新十名所に選ばれたいわれを記した石碑がありますが、劣化が激しく、刻まれた字がよく見えません。
<徳林寺>
葉書塔の近くに徳林寺があります。ここは普通の寺とは少し変わっています。展望台のような八角形の鐘楼が建っています。木造二層で高さ9.8mあり、ループ状の階段を上ると、高さが3mもある青銅製の梵鐘が吊るされています。鐘楼も梵鐘もベトナムで造られたもので、デザインはアジアンテイスト。参道には「日越 ベトナム2020」と彫られていたり、木製の小さな像が置かれていたりと、異国の雰囲気があります。
本堂から年配の女性が出てこられたので、お願いしてシャッターを押してもらいました。お聞きすると、「この寺の者です」。おそらく住職の奥さんだと思います。
野並から天白川堤防道路を経由して南区へ。
名鉄名古屋本線のガードを潜って、細い裏道に入ります。これが昔の塩付街道です。
<丹八山公園(塩付街道)>
小高い丘になっている丹八山公園の西端に「塩付街道」の石碑が建っています。
かつて、星崎あたりでは、塩の生産が盛んで「前浜塩(星崎の浜の塩)」として知られていました。ここで生産された塩は、馬の背に乗せられて遠く信州塩尻まで送られました。この名残で、南区には前浜通、荒浜町、浜田町、鳴浜町、元塩町、塩屋町、といった町名があります。
大江川緑地公園のサイクリングロードを西に走って、大同大学と大同病院を通過します。
<柴田水処理センター修景施設>
柴田水処理センターは、汚水(下水)を適正に処理し河川に放流する施設です。11mの高さがあるビルの屋上に庭園があります。ビオトープや広場がある修景施設として、午前9時から午後5時まで自由に散策できます。静かにのんびり過ごすには絶好の場所です。
<名古屋臨海鉄道>
名古屋臨海鉄道は、名古屋港東地域で貨物輸送を行う鉄道です。大同大学の西側に本社があります。今日は運良く、青色塗装のディーゼル機関車が停車していて、これをバックに写真を撮ることができました。
<東名古屋港駅>
名鉄築港線は、大江駅と東名古屋港駅を結ぶ1.5kmの路線です。朝の8時半ばの列車が終わると、午後4時半まで列車は走りません。三菱や東レなど大江町周辺の工場関係通勤客のためのような駅で、通勤時間帯だけの運行となっているのです。
この駅にはホームがあるだけで改札はありません。大江駅に築港線専用改札があります。
私たちが到着したときは10時を過ぎていて、ホームには当然誰もいません。
まさに都会の中の秘境駅と言えるでしょう。
<ダイヤモンドクロッシング>
東名古屋港駅から東の大江駅方面に線路沿いを500mほど行くと、名古屋臨海鉄道の路線と90度に交差する箇所があります。2本の線路が平面上で十字やX字に交差する構造のことをダイヤモンドクロッシングといいます。線路と線路の交差した間の形がひし形(ダイヤモンド型)になることから、こう呼ばれます。
愛媛県の伊予鉄道と高知県のとさでん交通の路面電車にダイヤモンドクロッシングがありますが、普通鉄道同士では全国でここだけという大変珍しいものです。鉄道ファンに愛されるレアスポットになっています。
名古屋臨海鉄道の線路は市道を横切っているので、踏切と警報器があり、「止まれ」の路面標示があります。しかし、線路上には立入禁止の鎖が張られていて、貨物列車は通過できない状態ですし、実際列車が通過することは極めて稀です。無駄な一時停止個所のように思えますが、停止しないと交通違反になるのでしょうね。
<道徳公園のクジラ像>
南区の道徳公園に行きます。石と擬木で護岸を巡らした池の中(と言っても水はありません。)に鉄筋コンクリート製のクジラ像が鎮座しています。
道徳公園が開園した1927年(昭和2年)、東海市聚楽園や西尾市刈宿の大仏の作者である後藤鍬五郎が手がけました。全長9.7m、幅3.5m、高さ1.9mと本物の鯨に匹敵する大きさです。噴水なのですが、いつもは水は出ていません。これにはギミック(からくり、仕掛け)があって、池の脇に設置された蛇口のようなハンドルをひねると、背中から潮を吹くように水を噴き上げる仕組みなっているのです。
このクジラ像は、2010年(平成22年)に名古屋開府400年を記念して行われた、名古屋の隠れた魅力を市民が再発見するという「夢なごや400」事業で、グランプリの「どえりゃあ大賞」に選ばれました。2021年(令和3年)には国の登録有形文化財(建造物)にも登録されました。
ここで、kuwanaさんが「なぜクジラなの?」。
私も分かりません。調べてみると、江戸時代の干拓で新田ができるまで、この辺りは「あゆち潟」と呼ばれる海で、クジラやシャチも来ていたらしく、クジラの骨も出たとのこと。地域の記憶として残そうとして造られたのでは、とされているそうです。
再び港区へ。きらく橋を渡って、名古屋港ガーデンふ頭に自転車を進めます。
<モアイ像>
モアイ像はチリ領イースター島に存在する人の顔をした石造彫刻です。製作や設置目的が不明で、その数が多いことから「謎の巨石群」と言われています。
そのモアイ像が、名古屋港ガーデンふ頭にあるのです。
モアイ像自体が謎ですが、どうして名古屋港にあるのかも不思議です。
私は昨年まで、この存在を知りませんでした。水族館やポートタワーなど他に見どころが多い場所であるため、存在感が控えめだからかもしれません。
高さは3.5mほどで、本物の違って目玉のあるモアイ像。塗装が剥がれたあとを見ると、石像ではなく、コンクリート製のようです。浅野祥雲もビックリの模造品です。
時刻は午前11時40分。混まないうちにランチにしましょう。
地下鉄名古屋港駅近くの「中華食房 凜(りん)」へ。
3人とも日替わりランチを注文しました。麻婆なす、焼きそば、サラダ、スープ、ご飯、漬物で、税込み1,000円。食品が高騰している昨今、量もあって、結構お得なランチです。先週、家内と試食に来て、味も良かったし、入店待ちのお客さんもいたので、この店に決めた次第です。
江川線を北上。港区役所の駐輪場に自転車を停めます。
<港防災センター>
港区役所に隣接して名古屋市港防災センターがあります。伊勢湾台風や阪神淡路大震災などの過去の自然災害について、写真やジオラマの展示があり、防災対策への理解を深めてもらうことを目的とした施設です。
1階には、地震体験室や消防服を試着できるコーナーなどがあり、クラシックなミニ消防自動車、そして実際に活躍していた本物の消防ヘリコプター「なごや2」が展示されています。ヘリコプターの後部座席に乗ることができます。
2階には、台風や津波の3D映像体験、煙体験ができる部屋があります。これらの部屋は昭和30年代の食堂や教室を模して造られており、さながら昭和レトロ博物館の趣があって面白いです。「みなと食堂」にはメニューの食品サンプルがおいてあり、「中華そば 50円」「チャーハン 60円」「中華飯 80円」「カキフライ 150円」となっていました。現在の値段の10分の1です。物価上昇に驚きます。
いろいろ体験できて、入場無料は嬉しいです。
当初予定になかった、白鳥公園や名古屋国際会議場の西側を通る市道に行きます。
今朝の新聞に「ヒトツバタゴ」が見ごろを迎えたとの記事があったからです。
枝葉に雪をかぶったように小さくて白い花の並木が1kmほど続いていました。
ヒトツバタゴは、愛知、岐阜、長野、長崎県対馬などの一部の地域に自生しているモクセイ科の落葉高木で、通称、ナンジャモンジャの木と言われています。見慣れない立派な植物を見た昔の人が「何の木だ?」と繰り返すうちに、それを聞いた人が「ナンジャモンジャ?」と言っていると思ったという説です。
名古屋市では街路樹として植栽されている道が結構あります。
熱田橋から堀田通にかけて自転車専用帯(自転車レーン)があります。もっと長い距離が整備されることを期待したいですね。
<センポ・スギハラ・メモリアル>
最後は、愛知県立瑞陵高等学校内の「杉原千畝広場 センポ・スギハラ・メモリアル」です。
杉原千畝(すぎはらちうね)は第二次世界大戦中の緊迫した国際情勢の時代に、日本政府の方針に逆らって多くのユダヤ人難民にビザを発給し命を救った外交官です。平成30年(2018年)10月、母校である瑞陵高校(旧制愛知県立第五中学校)に、彼の人道的功績を顕彰するため、屋外展示型の顕彰施設が整備されました。
杉原千畝がユダヤ人家族にピザを渡す等身大のブロンズ像、ビザリストを復元した陶板、杉原千畝の生涯などをまとめたパネルなどが展示されています。
ちなみに、「センポ」というのは「千畝」の音読みです。ユダヤ人にとっては「チウネ」の発音が難しかったため、「Sempo(センポ)」と呼ばせていたと言われています。
すっかり葉桜となった山崎川を通ってパロマ瑞穂野球場に到着しました。
【サイクリングコース】
瑞穂公園(午前8時30分) ⇒ 葉書塔 ⇒ 徳林寺 ⇒ 丹八山公園(塩付街道) ⇒ 柴田水処理センター修景施設 ⇒ 名古屋臨海鉄道 ⇒ 東名古屋港駅 ⇒ ダイヤモンドクロッシング ⇒ 道徳公園・クジラ像 ⇒ モアイ像 ⇒ 港防災センター ⇒ センポ・スギハラ・メモリアル ⇒ 瑞穂公園・解散(午後2時3分)
距離:41km
所要時間:5時間33分
【参加者】
kuwanaさん、T-kuchanさん、幹事(まつぼっクリ) 計3人
★当日の写真は、愛知県サイクリング協会のホームページ➔「フォトギャラリー」➔「探訪あいち2025」➔「4月26日(土) Let’s look into the deep NAGOYA」を御覧ください。
https://hasirenai.com/photo-index2025.html