●賃金台帳の取扱いの参考事例 | 尾沼社会保険労務士事務所

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全国展開している小売業の上場企業2社(A社・B社)で賃金台帳の備付けの不備を労働基準監督署から指摘されコンプライアンスの面から私が対応した事例を参考までに紹介します。

 

 

論点は、賃金台帳を全国各地にある店舗ごとに「紙」ベースで備付けなければならないのか?本社の「データ」ベースでの対応は認めてもらえないのか?ということで、労働行政と交渉したうえ2009年6月26日にA社について得た結論です。

 

 

あくまで参考であり他社事例については責任を負いかねますのでご了承ください。

 

 

■結論

下記の説明を真摯に行えば「データ」ベースで充分に対応できる。

 

 

■説明事項

①先ず、労働行政には積極的に協力する意思があること。

 

②そのうえで、A社は店舗(事業場)を全国展開しており、給与計算は店舗単位でなく本社で一括処理していること。

 

③各店舗から本社に問合せがあれば賃金台帳はいつでも出力できる状態にあること。

 

④A社では、店長は「管理監督者」でないという取扱いをしており、賃金台帳という重要な(正社員の)個人情報を閲覧する権限を付与していないこと。

 

⑤人事考課をする立場にない従業員が他の従業員の賃金台帳を閲覧できる状態にあることは非常にマズイという認識があること。

 

⑥A社では「管理監督者」はマネージャー以上の上級職位者で、これら上級職位者は店舗に常駐していないので、たとえ賃金台帳を金庫に保管(つまり、備付け)したとしても、上級職位者不在時は賃金台帳を取出すこともできないので、結局のところ本社に問合わせて出力せざるを得いないこと。

 

 

※この対応の背景には、(1)A社では、2007年のマクドナルド判決が及ぼした影響により、管理監督者の取扱いについて、IPO(株式上場)を前提としていた内部統制・コンプライアンスの面から一貫して真摯な対応が求められたこと、また、(2)労働基準法が「紙」ベースでの備付けを求め、通達にも「データ」ベースでの対応に明確な指針が示されていなかったことがありました。

 

特定社会保険労務士 尾沼昌明

 

 

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