国と地方。 | 公務員ってこんなもん。

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ある地方公務員の日常。
仕事もプライベートも、日記を通して公務員の実際をつづります。
なぞの職業「公務員」もこれで完璧?

ここ2,3日


ひとつの私の思いつきがとんとん拍子で進んで


大きな流れになりました。


きっかけはささいなことでした。

たまたま、今手がけている(というか私の思いつきに地元の森林組合さんが乗っかってくださった)『山村境界保全事業』の関係で、国の外郭団体の方が一昨日相談に来られました。
そこでひととおり『山村境界保全事業』に関する打ち合わせを一緒に来られた業者さんとして、その後の雑談の中で、「実はこんなことを考えてるんです」みたいな感じでお話をさせていただいたんです。

話した中身についてはいろいろと障りがあるので詳しくは書けないんですが、要は民間のデベロッパーさんが開発した住宅団地について、きっちりとした測量成果があるのに、それは多分このままでは散逸していってしまう。
住んでいる方もたくさんいらっしゃる団地で、その土地の境界情報が失われることは、住んでいる方にとっては将来のリスクになってしまうので、これを何とか地籍調査に準じる形で保全して、役場でそのデータを管理できるようにできないか、ということでした。

考え方は『山村境界保全事業』と同じです。
今なら何とか保全することができる境界の情報が、年月とともに失われることは私としては非常に辛いものがある。災害などの際に必ず必要になる情報なのに。

それで、だめもとで相談したところ(あくまでその方が来られたのもたまたまですし、話の内容自体は以前から危惧していたことでしたけれど、話しをしたこと自体は思い付きでした)、一度東京に持ち帰って相談をしてみるとのことでした。

そこからとんとん拍子に話が進み、いきなり霞ヶ関の方から直接電話をいただきました。
その内容は、「ちょうど国としてもずっと、同じことを考えていて、来年度に試験的にどこかでモデル的に検証をしたいと考えている。そこまで市町村として前向きに考えていただいているのであれば、国としても支援をしていきたい」とのことでした。

ただ、あくまで思いつきからのスタートだったので、とりあえずわがまちとして進んでいけるのかということで慌てて内部調整をし、承諾をもらえました。
県については、こちらから連絡する前にお叱りの電話をいただきました。どうも国から、こんな提案があり、国としては前向きに考えているので県も知っておいてほしいという内容の連絡があったみたいです。

県の担当者からいただいた電話の内容
「僕と○○(私です)ちゃんの仲で水臭い。国から電話があったけど何で先に相談してくれなかったの?これからの付き合い方、考えちゃうよ」
もちろん、冗談まじりではありますけどね。
でも、こんな関係でいられることは幸せなんだと思います。

で、県としても事業が進むことはありがたいし、ぜひ前に向けて進めて欲しいし、必要なら担当者としてサポートはするよといってくださいました。

まだまだ来年度予算の概算要望の内容も不透明ななかで、これからどう転んでいくかもわかりません。
それでも、今回のことは本当にありがたい話だと思います。
何より、普段から仲良くお付き合いをさせていただいていた森林組合の担当者さんが、国の外郭団体の方を連れてきてくれてなければ、この話はなかったわけですし、県にしても日ごろから親しくさせてもらっている担当者さんが、国に対して私の至らない部分をその後フォローしてくださったおかげで、話がスムーズに進んできたわけです。
そして、私が先走って進めてしまった話を温かく見守り、ある程度方向が出た時点で役場内の調整をしてくださった私の上司の方々。

今回は本当に、仕事は自分ひとりではできないと感じました。

そして、ともかく前に向かって精一杯頑張っていれば、自然に周囲から様々な形でサポートがはいるんですね。
今回のことは、関わってくださった全ての方に感謝です。
そして、何とか最後までこの仕事が完結できるよう、頑張りたいと思います。


最後に、今回のタイトルに関わって一言。

地方は国からの指示にしたがって仕事をするものと考えている地方公務員の方がたくさんいます。
でも、ご存知のように地方分権の中で今は国と地方は法律上対等な立場になっているはずです。
実際、今回のこと以外でも私が感じるのは、国はやる気のある地方には支援をしてくれるということです。
つまり、これからの地方競争の時代、本当に自分のまちをよくしたいなら、国からの全国一律の施策をまつのではなく、積極的に地方の側からオーダーメイドの提案をしていかなくちゃ、まちおこしはできないんじゃないでしょうか。

これからの公務員の姿。
それは、与えられた仕事をこなすのではなく、自分なりの考え方を持って、周囲に提案し、それを実現していくことが求められているような気がします。

少なくとも私はそうありたいと思っていますし、それのほうが仕事が楽しいですもんね。