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[M+インタビュー①] キムジンマン PD 「‘キルミーヒールミー’ 一度は死んだけれど、そこで初めて生きたんです。」
「『キルミーヒールミー』が終わって僕の生活は현망진창(現妄泥濘=現実と妄想がゴチャゴチャな状態)ですね。これまで僕の生活と考え、中心が作品に合わせられていたところからしても、抜け出すにはやはり時間がかかりそうです。」
未だに強風が肌寒い春、MBC水木ドラマ『キルミーヒールミー』が終わり、演出を任されたキムジンマンPDのインタビューの場は劇中のリジン(ファンジョンウム)、リオン(パクソジュン)兄妹の家であった’サンリ’近辺の漢江公園であった。いつ撮影があったのだろうかというほどに今ではとても平穏な漢江公園にてキムジンマンPDに『キルミーヒールミー』の尽きることのない話を伺った。
『キルミーヒールミー』が終わってから時間がたったが未だにキムジンマンPDの声には作品に対する余韻が深く残っていた様子だった。大変であり難しいことが多かったが苦しんだ分没頭し、それによって返ってくる達成感とでひとつの作品が誕生した感激はとうてい言葉に出来ないほど大きかったからだ。
「多重人格を演技したチソンさんと僕は心理治療が必要だと言い出すくらい本当に没頭したドラマでした。普通、ひとつの作品が終わればスッキリ爽快といった気持ちになるのに、僕にはただ終わるのが惜しいというばかりで、スッキリとは思えませんでした。早く作品から離れなければいけないのに、どうしても離れられませんね。」

多重人格という慣れない題材を使用した『キルミーヒールミー』の人気は熱風と呼べるほど熱いものだった。『キルミーヒールミー』にて7個の人格を抱えた主人公チャドヒョン役を演じきったチソンはすでに2015年MBC演技大賞の候補として抜擢されるほどであり、人気度を計ることのできるパロディーはやはり1日と開けず溢れ出てきている。今は秀作だと評価されている『キルミーヒールミー』だが、一番初めはとにかく険しかった。長引く俳優たちの出演拒否によりキャスティングが難航に陥り、その過程の中で大きく小さな非難などがあったことだ。ドラマが放送される1か月前、やっとのことでチソンとファンジョンウムが男女の主人公として確定、『キルミーヒールミー』は撮影のために動き出した。
「結果的には良い選択でしたね。チソンとファンジョンウムがいなければ今の『キルミーヒールミー』はありませんからね。」「海東六龍ナルシャ」と過ぎ去ったさまざまな苦痛やすれ違いが今の『キルミーヒールミー』を作り出したと思っています。初めて『キルミーヒールミー』は150億規模の中国ドラマに、『太陽を抱く月』のチンスワン作家が執筆を任されたという事実が明らかになって話題になった作品です。作業を進めていたのですが、いつからかプロジェクトが宙に浮いていて、本質よりも副次的なことが先だった気がして危険だという考えが浮かびましたね。災い転じて福となす、というようにキャスティングが不発で逃したものたちが有るべき場所に戻されたんだと思います。題名が『キルミーヒールミー』じゃないですか?『キルミー』このプロジェクト自体が死んでこそ『ヒールミー』生きるプロジェクトだったんだと思います。一度死んだおかげで全てが合わさったんです。」
もちろん今は最高の選択となったが、当時チソンを『キルミーヒールミー』の主人公にキャスティングしたことは少なからず意外であった。演技力は良かったが、当時先だって言及されていた候補たちに比べスター性が2%不足していたことも確かだ。決定的なところでは「主人公は20代の俳優でキャスティングする」という既存の立場を打ち砕くキャスティングでもあった。
「企画段階からチンスワン作家とこんな話をしていました。この話はとても暗く重く難しくもあるから、中盤で人気が出てそのままいけばいいね。主人公はとにかく若い俳優、20代の俳優の中から探そう」これがチンスワン作家と僕が決めたキャスティングの方向でした。しかしキャスティングをしながら気付いたんです。その同世代俳優たちが多重人格を演技するには危険要素が多いということを。そこで20代の俳優はキャスティングがうまくいきませんでした。その状態で『キルミーヒールミー』プロジェクトがボロボロになっていきました。そんな時知人からチソンがこのプロジェクトに興味があるということ知らされ、その中でチソンに電話をかけ会おうと言いました。8時に会って夜明けの2時まで話しました。そして決めたんです。チャドヒョンはチソンだ。次の日製作者に知らせ、チンスワン作家にも伝えました。その時チンスワン作家はキャスティングにおいて異なる考えを持っていたかもしれません。しかし僕に「監督の決定に従います」とついてきてくださり、おかげで最高のキャスティングが誕生しました。

ドラマ製作前キャスティングで苦労したというなら『キルミーヒールミー』が放送された後には同時間帯に放送されていたSBS『ハイドジキル、私』の原作者'ジキル博士はハイドさん'イチュンホ作家のアイデアを盗用したと物議を醸した。これに関連して心境に基づいてキムジンマンPDは「話すことはない」と伝えた。慎重にであったり、答えるには混乱して、ということではなく、すでに『ハイドジキル、私』と『キルミーヒールミー』はあまりにも異なった道を歩んできたからだ。
「全く異なった作品なのに他に何か言うことがありますか?」
キムジンマンPDに『キルミーヒールミー』の人気要因に対して「パズルのように完璧に合わさった」と説明した。『キルミーヒールミー』が愛され得た要因は単純に作家の力でも、俳優の力でも、演出の力でもない、すべてのことが和を成し線を成したのだった。
「すべてがパズルのピースのように呆れるほどピッタリと合いつつも『キルミーヒールミー』という作品が作られました。ミミ(『キルミーヒールミー』愛聴者を称する言葉)たちもひとつのピースでした、僕はミミの公式1号ファンです。ミミたちが活動してりう部分を見て本当に感動しました。僕らは単純にTVドラマを作っているけれどこれをひとつの文化として消費することは大衆の役目です。ミミたちが『キルミーヒールミー』で遊びつつTVドラマを文化現象という違う次元に押し上げてくれたと思っています。ドラマを通してイシュー化させ、よりよくなって児童虐待予防のための寄付運動という肯定的な影響を与えてくれました。」
キムジンマンPDに『キルミーヒールミー』の中で最も記憶に残っている場面を尋ねてみた。そうすると1話から20話まですべての場面が溢れ出てきた。つまり、ズバ抜けた名場面を1つだけ選ぶことができないくらいにキムジンマンPDに『キルミーヒールミー』というすべてが名場面であったということだ。
「演出の立場からしても『キルミーヒールミー』は忘れがたいドラマです。キャスティングの過程において苦しい部分があって、この作品が惜しいばかりではなかったからです。序盤に多くの俳優たちがあらすじや1~2部の台本を見て拒否した理由が「難しい」でした。「これが果たして韓国のTVドラマに大衆性を負わすことができる話なのか」という理由で拒否され、チンスワン作家と僕も苦心した部分が多かったです。おかげでどんな風に表現すれば、この重みを抜け出し大衆と息を合わせられるのかを悩めました。」
キムジンマンPDは重みを抜け出すことのできる答えをファンジョンウムに見つけた。キムジンマンPDは「ファンジョンウムの『キルミーヒールミー』のトーンを見つけるよう勇敢さをくれた人だと彼女に対して話した。」

「初めてコミック演技をするときファンジョンウムがすごく恐れているんですよ。もう自分は『ハイキック』のときのファンジョンウムではないと。だから「もうお前はあの頃のファンジョンウムじゃないんだからまた違った感じを出せるさ」といいました。ファンジョンウムは自分が納得しなければ演技できない俳優なんです。これは逆に言えば状況が納得すればこれを表現するディテールは恐れることなく今世最高です。1話でシンセギとオリジンの出会いを撮るときでした。チソンには世界の誰よりも真剣に、そしてファンジョンウムにはそんなチソンを心の底からからかえと指示したんです、裏側を言いますと、台本の中に「お前に惚れた時間」はロマンティックな場面だったんですね。地の文には「シンセギの言葉を聞いたリジンの胸が弾む」だったんですが、撮影前にファンジョンウムに尋ねました。本当にそんな話を聞いたとき胸が弾むのかと。そこでコメディーになりました。決定的なところ、そのシーンを撮りながらキルミーヒールミーというドラマのトーンが決まりました。ファンジョンウムは劇の雰囲気を決めたとても大切な俳優でした。」
ファンジョンウムがキムジンマンPDに勇敢さを与えた俳優ならチソンは最高に息を合わせ見せつけた俳優だった。キムジンマンPDは「チソンという俳優がすべてのディレクションを表現してくれて遊んでくれたことで可能になったドラマだった。チソンがいなければ今の『キルミーヒールミー』はなかった」と太鼓判を押した。
「「覚えとけ 2015年1月7日午後10時丁度、俺がお前に惚れた時間」このセリフを撮るときでした。チソンに指示したんです。「今はわからないのだけれど、いつかシンセギのために人々が涙する日が来るから、何が何でも時計の針を打って真剣にやってくれ」と。僕と10年息を合わせた編集者も初めは戸惑っていたのですが、チソンは僕が言ったことを正確に表現してくれたんですよ。チソンと息があったんです。作家もわからない感情の深さを僕とチソンが作り出した地点だったんですが、ちょうど5話のカボチャの馬車のキスシーンでした。ドラマを見るとセギが涙を流しているのですが、実は台本には無い部分なんです。考えてもみてください。セギにとってはファーストキス、それもリジンとのファーストキスなのに涙が出ないわけがない。チソンは何もない状態で僕のディレクションひとつだけでその場面を完成させたんです。」
2人の主演俳優チソンとファンジョンウムに対し話したキムジンマンPDは感謝の挨拶を忘れなかった。2人の俳優が声を上げずついていきながら撮影が円滑に進むことができたということだ。
「現場では大声を出したことはありません。このすべてのことがこの俳優たちだからこそ可能だったからではないでしょうか。時にはいわゆる『横暴俳優』もいますが、『キルミーヒールミー』にはそんな風景はありませんでした。誰もがディレクションに素直に従い、現場で「場面修正しないなら撮らない」と引き下がらない俳優を待ったことは一度もありません。」
