昭和、Gフォース、そして機龍と、ここしばらくメカゴジラのことばっかり書いてきたこのブログ。
それも一応今回で最後の予定だ。
ま、今後もゴジラ関係のことを書いていくのは変わりないけども。
メジャーどころはほぼやっちゃったのでどうしたものか。
それはともかく、今回は機龍の劇中での活躍ぶりについて。
今までのメカゴジラには案外なかった、ロボット物で鉄板の戦いぶりに注目だ。
リアルとフィクションの良い塩梅・特生自衛隊
その前に、機龍二部作で大事な組織である「特生自衛隊」について話しておこう。
特生自衛隊は、特殊生物・怪獣に対応するために作られた自衛隊の一部隊だ。
母体は陸上自衛隊であり、武装や制服などにその名残がある。
特筆すべきは対怪獣用として配備されたメーサー兵器だ。
まあ、ビームが撃てる戦車みたいなものだ。
機龍二部作は、ゴジラ以外の東宝怪獣映画と緩やかに世界観を共有している。
この世界においてのメーサー兵器は、「モスラ」での原子熱線砲をルーツに持つ。
「サンダ対ガイラ」において陸自に配備されたメーサー光線車は多大な戦果を挙げた。
しかし、専守防衛の範疇を超えたその威力を自衛隊が持つのはいかがなものかという意見が噴出。
結果、通常の防衛出動にはかかわらない特殊生物専門の組織、特生自衛隊が誕生した。
という、なんともリアリティのある経緯で生まれた架空の組織なのだ。
ナショナリズムと絡めたこういう設定、当時中学生の僕にどストライクだった。
過去の怪獣映画の話を引用しているのもいい。
怪獣という脅威に対して自衛隊ならどう動くかがちょうどいいバランスで表現されている。
機龍二部作一作目 ゴジラ×メカゴジラでの活躍
さて、そんな特生自衛隊に配備されることになった機龍。
機龍を運用するために「機龍隊」というチームが結成される。
機龍を遠隔操作するだけなのに、なぜか鉄条網の下をほふく前進する訓練をしているエリート部隊だ。
機龍完成の記者会見中に出現したゴジラを迎撃するため、さっそく出撃する。
ちなみに、機龍は自力で飛べなくもないが、省エネのため戦闘エリアまでは護衛機に吊り下げられて移動する。
着いたらゆっくり地面に下して、戦闘開始というわけだ。
この移動方法、吊るすためのワイヤーが結構細いうえに、ワイヤーを接続する箇所も四か所しかない。
機龍建造に予算を使いすぎてこの辺はおざなりになってしまったのだろうか。
そんな運搬方法のわりに、子供向け野球教室が開かれている球場近くを通過したりするし。
近隣の住民からクレームがあってもおかしくない。
まあ、結構いろんな怪獣を撃退してるっぽい特生自衛隊だから、市民からの人気は高いのかもしれないが。
ゴジラと対峙した機龍はさっそく攻撃を開始。
レールガンにメーサー砲と、メカゴジラらしい遠距離戦を展開する。
このあたり、映画終盤の戦闘の前フリにもなっていて好きだ。
良い感じに戦闘を続けていた機龍だが、ゴジラの咆哮に反応し突如コントロール不能に。
突如暴走し、立ち去るゴジラを追わずに街を破壊し始める。
積極的に街を壊すメカゴジラは昭和以来なのでなかなか爽快だ。
街を壊すのにちょうど使いやすそうな小型ミサイルも装備してるし。
帰投後、暴走の原因はDNAコンピューターにあると判明。
ゴジラのDNAを使ったコンピューターがゴジラの咆哮に反応してしまったのだ。
さっそく、別の生き物のDNAを組み込むというジュラシックパーク的発想でちょちょいと改修。
バラとゴジラと娘の遺伝子を混ぜた博士は大変なことになっていたが、今回は機械の話なのでセーフだ。
まあ、そもそも外部からの音声を制御コンピューターに入力しちゃう構造に問題があるようにも思うが。
遠隔操縦なのだから音は操縦している航空機が拾えばいいわけだし。
それとも、やっぱり骨が中にあると骨伝導で音を感じちゃったりするのだろうか。
だとすると、機龍のコンピューターは音を信号化せずに直接振動で認識できる超絶新技術を搭載していることになる。
だとしてもそんな機能をつける意味がないし、やっぱり設計を見直すべきではないだろうか。
それはさておき、再び出撃する機龍。
先の暴走により世論は出撃に消極的だったが、首相の英断により出撃が決まった。
なんの因果か、首相役はこの人だ。
「VSメカゴジラ」にも出演していた中尾彬さん。
画像の役柄よりはだいぶ落ち着いた今作の首相役だが、やっぱりゴジラを倒したい執念は同じだ。
ゴジラ上空に近づく機龍。
空中でワイヤーを切り離し、月をバックに着陸する。
この、本来の運用とは違う無茶な出撃。
お約束だが熱いこのシーンが大好きだ。
人間と違って、機械は無茶なことはできない。
人間ならそれでも戦えるが、機械は無茶したら壊れるのだ。
だが、そんな機械が人間のような無茶をする。
その瞬間、機械に魂が宿るのだ。
怒涛の攻撃でゴジラを追い詰める機龍だが、戦闘中バックパックが破損。
オペレーター・家城茜の機転でゴジラに向けて強制排除する。
これ。これこれ。
またも本来の使い方とは違うことしちゃうやつ。
しかも、壊れた装備を有効利用するという攻撃方法。
なおかつ、バックパックと腕のレールガンを排除した機龍はより身軽に。
「高機動型」といわれる形態となり、格闘戦でゴジラと渡り合う。
今までのメカゴジラにはないがっぷり四つの殴り合いだ。
しかし、アブソリュート・ゼロの誤射によりエネルギーを失った機龍は沈黙。
この、必殺兵器を外してピンチになるのもお約束だ。
東京中の電力を集め送ることで再び立ち上がる機龍。
遠隔操縦がダメージの影響で不可能なので、メンテナンスブースに乗り込み直接操縦することに。
あぁ、これだよこれ。
この無茶加減が最高だ。
アブソリュート・ゼロの発射体制をとりつつ、ゴジラに突進する。
「行くよ、機龍!」
家城茜の叫びとともに始まる最後の攻撃はもう、たまらんね。
このシーンを観るためだけにもう十回はこの映画観てるからね。
それでもゴジラを倒すまでには至らず、決着は次作「東京SOS」へ持ち越しだ。
機龍二部作二作目 「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」
東京SOSでは登場怪獣にモスラが加わり、よりメンツが豪華に。
しかしまあ、その分機龍の活躍シーンはちょっと抑えめ。
戦闘描写ではバックパックが二段階で射出できるようになったり、スパイラルクロウでの攻撃シーンが見どころだろうか。
特にスパイラルクロウでの攻撃シーンは物理でゴリ押ししてる感があっていい。
それよりも、今作では生き物としての機龍の描き方が重要だ。
ゴジラ一作目で人類の水爆により住処を追われ、仕方なく日本に上陸しまたも人類により倒されたゴジラ。
機龍は、そんな犠牲者であるゴジラを死してなお戦わせるむごい兵器でもある。
それは正義の行いなのか。
葛藤の末、人類はゴジラ討伐後機龍を放棄することを決意する。
最終決戦のさなか、自我に目覚める機龍。
モスラの援護を受けつつ、ゴジラを抱きかかえ海の中に沈んでいく。
同族とともに、機龍は海底で眠りにつくのだった。
東京SOSでは、機龍の背負う悲しみが前面に押し出されている。
アメコミヒーローなんかでもオリジンに悲しい出来事があったりするし、やっぱり陰のある設定はカッコいい。
ロボットとヒーローのツボを押さえた機龍
以上が、映画での機龍の活躍だ。
ロボ物における熱いシーンと、ヒーロー的なキャラクター設定・描写が光る。
わりとがっつり定番というか、こういうキャラ付けの怪獣はゴジラでは珍しいように思う。
で、そのいろんなキャラクター性が全部背負える機龍がすごい。
「ロボット怪獣」というこれまでのメカゴジラの積み重ねられたイメージがあったからこそ、いろいろな要素を乗っけられたのだろう。
生身のヒーローと機械のロボットのちょうど中間というか、どっちの要素も乗っけられる個性がある。
生体ロボットという設定もキャラクター性にマッチしていていい。
まさにロボット・ヒーロー・メカゴジラのカッコいい要素を選んでいいとこどりしたような感じだ。
カッコよすぎてちょっとズルいよねぇ、という気がするくらい。
ラーメンにチャーシューとニンニク入れたらそりゃうまいよねぇ、みたいな。
でもまた食べに来ちゃいました、みたいな。
そんな感じだ。
なんだか脂っこい例えで話をしめてしまったが、今回は以上。
とにかく、機龍はカッコいいので、みんなも機龍二部作は観てみよう。
釈由美子さんが懸垂したりほふく前進しているのが観られるのは多分この映画だけ!