今年の冬は、いつもより暖かい気がします。ワンコたちもお散歩がしやすいでしょう。
比較的すんなりと午前の仕舞い支度のできた日のおはなしです。
職場の昼休憩直前の時間、玄関の自動ドアが開く音がしました。習慣で笑顔を向けます。けれど風除室を挟んで2枚目のドアはいつものタイミングで開くことはなく、閉まったまま。おかしいな?と1枚目の窓の外に目を向けると、そこには背の低いシルエットがせわしない動きをしています。
「わあ!柴ちゃんが来た!」
思わぬ珍客さんです。飼い主さんは入口の手すりに係留していいものかどうか迷っている様子。受付の人数は十分足りているので、私は迷わず柴犬のもとに走ります。おじさんが用事を済ますまでの間、柴ちゃんが安全に過ごせるようみていてあげないとね。
おじさんの用事は、あっという間に済みました。「出直そうかと思っていたけれど、散歩の途中に予約ができてよかった」と喜びつつ、ワンコのお守りまでされる厚遇ぶりに多少の戸惑いも感じているようでした。
「私は柴犬が大好きですから、勝手に見せてもらっていただけですよ、このわんちゃんはもうだいぶ大きい子ですね。」
シニアにさしかかりの年齢でおとなしく、初対面の私には遠慮がちになる子でした。おじさんにはぴったりくっついて甘えています。
「もう9歳です。歳ですよ、私と同じくね。」
そんなことを言うので、わんこさんを引き合いにだしました。
「うちの子はこの子と同じ色の柴犬で、16歳まで生きましたよ。9歳はまだまだ若い。」
おじさんは「16歳?」と目を丸くしていましたが、「その子はもう?」とわんこさんが私とは一緒に暮らしていないことを察して表情を曇らせました。診察の予約をした直後という状況なのですからなおさらに、今隣に寄り添っているかわいい柴ちゃんとお別れする寂しさを想像したのでしょう。
「そう、16歳。今はわんちゃんの平均寿命もどんどん延びているから、この子はもっと長生きできるよ。おとうさんも一緒にお散歩してるから、毎日いい運動ができるね。時々は体のメンテナンスをしながら、二人とも元気で過ごしてくださいね。それでは次回来院をお待ちしています。」
遠ざかっていく二人を見送りながら、願いました。どこのおうちの飼い主さんもワンコちゃんもみんなみんな、一緒に暮らせる幸せ時間が少しでも長く続きますように。
お正月休みにも、ペットショップを何件か回りました。どの子もみんなかわいいのですが、まだ運命の一人には出会えていません。
