おばあちゃんになった、わんこさんのおはなし。                    ~高齢柴犬の闘病・介護記録~ -17ページ目

おばあちゃんになった、わんこさんのおはなし。                    ~高齢柴犬の闘病・介護記録~

ハイシニア柴犬介護記録です。
1年3カ月の闘病期間を含め、いつでも家族みんなで笑いながら過ごした、柴犬「わんこさん」との16年と8カ月の生活。
悲喜こもごもあったけど、トータルしてとっても幸せだった日々のおはなしです。

犬と一緒に過ごす生活って、いいね。

獣医の先生も「初回だけはお腹がすいているから排泄状況には関係なく、無条件で飲むだろう」と言っていた。配信されている子犬や子猫のかわいらしい動画を見ても、みんな勢いよく飲んでいる。哺乳瓶をしっかりくわえて、徐々に釣り上げられて体が浮いても離さないくらいに執着している姿を見かける。生きるとは、生命力とは、誰かに教えてもらうとかではなく、そういう風にできているものなのだろう。さすがにこんなに小さな時期の様子は知らないけれど、生後40日で我が家にやってきた柴犬のわんこさんも初日から、当たり前に自発的に、飲んだり食べたりしていた。

むぎちゃんの小さな口に哺乳瓶をあてても、動画の子たちみたいにがっついて吸い付く様子は全く見受けられない。私が下手なんじゃなくてこの子どこかおかしいのかも…と、疑いが胸中に広がり始める。

 

だけど…。幼児期の私は偏食で小食だったと聞いている。それでも死にはせず、大人になった。むぎちゃんも小食なだけなのかもしれない。

帰宅してからむぎちゃんの保護をしてそのまま買い物に行った私は、水分補給を怠った。買い物帰りに応急的に缶ジュースを飲んだけれど遅かったようで、熱中症の自覚症状である、薬が効かないいやな頭痛の気配がする。これから3時間おきの授乳に備えなければならないのに、私はどうしてこんなに弱っちいのだろう。夕方、買い物に出ただけ。確かに気温は高いけど、特別に過酷な条件下というわけでもなかったのに。

 

弱肉強食の自然界で他の兄弟を確実に生き残らせるために母猫がとった「捨てる」という選択、自然の摂理ではじかれてしまった命がこのむぎちゃんだとしたら。生き残る丈夫な兄弟猫とはじかれたむぎちゃん、おまえはどちらの側にいるのか、と問われたら。私はむぎちゃんの側だろう。

命は平等だとされる人間だから、あからさまな選別がなかっただけ。けれどヒョロヒョロした子供だった私は、鬼ごっこでもドッジボールでも何をやっても、最初にターゲットにされた。子供社会は、正直すぎて残酷でもある。そんななかで私は、俊敏でたくましい他の子に狙われ瞬殺されて、いつも最初の犠牲者だった。私もみじめで悲しい思いを知っている。状況打破しようよ、むぎちゃん。そのために今できることは、ミルクを飲むことだけなんだよ。

 

たったの10ccのミルクを、毎回作っては飲ませようと試みても、哺乳しない。もしかすると最初にスポーツドリンクを飲ませるときにスポイトを使ってしまったから、刷り込みの現象が起きた?一縷の望みにすがりスポイトを使っても、ミルクを飲む様子を見せない。手際が悪くミルクが適温から外れたことが気に入らないの?時間ばかりかかるのに、効果が上がらない。体調不良も相まって、私はイライラし始めた。むぎちゃんは嫌がり続けている。ミルクが無理ならせめて水分補給をと、スポーツドリンクをスポイトにとり。2種類の液体を交互に哺乳瓶に入れ替えたりスポイトで吸い上げているだけの、不毛な時間。

 

むぎちゃんは夜間も時折、鳴き声をあげる。動きまわり、箱に頭をぶつけている音もする。元気なのか苦しんでいるのか、よくわからない。元気ならいいのだけれど、哺乳しないことに違和感を感じる。頭がガンガン痛み、体がだるかったから、「授乳間隔3時間毎」を確実に守れていたかと問われれば、悔やまれるけど答えは否。けれどきっかり守っていたとして、少しでも飲めたかどうかと問われると、それも否、…だったと思う。


口の中になにかを入れられていなければ、片手で包み込むような抱き上げ方が気に入っているのか、おとなしく掌に包まれて眠る。その姿はかわいらしかった。このまま飲まなくても大きくならなくてもいいから、電池とかを動力に変えられればいいのに。でもそれを「生きている」とは言わないんだよね。

 

 

 


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