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wii / La farine

どうにもならないのに

 ディディエはもう何も言わずに、脱がした私の服をすべて脇へ放り投げた。男が女の身体に一番唇を寄せたがる本当の場所は、一体どこなのだろう。我を忘れてディディエの行為に身を委ねられるなら素敵だろう。ディディエの手が胸をまさぐり、腰にのびる。その都度、彼の手の暖かさに驚かされ、触れられた場所は次第に火照り、声をあげそうになる。ディディエが服を脱ごうとしないことに気がついた。この熱い手を持つ男の肌に直接触れてみたいと思ったところで、ディディエが一瞬私からどいた。そのすきに私は上半身を起こし、ディディエのセーターの裾をつかむ。ディディエは素直に両手を上にあげ、脱がすのを邪魔しなかった。ベルトをはずして、ボタンをはずした。重いズボンはディディエが手伝ってくれすぐに脱げた。両足の靴下を脱がすと、私は横になった。ディディエの唇が再び私のそれを覆う。覆いながら、私の腹部に載せられた彼の左手はなまめかしい動きを繰り返しながら、何処を触れば、私が声をあげるのかを探している。いきなり左腕をつかまれ、何かを握らされた。手にした彼の掌以上に熱い塊が何を意味するのか、知らないわけがない。

 そう、たぶん、私はおかしいのだ。少し話しただけで、部屋に招き入れ、こうして身体まであてがうのだから。けれども、ディディエの肌が驚くほどすべらかで、押しあてられるでっぱった腹に可愛らしさを感じ、彼の長めの髪の毛を引っ張らないように気をつけながら私から首に腕をまわしたとき、もしかしたら、おかしくなってしまったがゆえに私はこの男を愛するかもしれないと思った。腰を合わせ、足を絡ませる。ディディエが私の身体の上でリズムをとりながら動くたび、自然に声がもれる。もっと、もっとと要求する私の身体を嫌がらないで欲しくなる。ディディエが私の指をつかみ、私にキスをする。残された片手でディディエの背中を抱きしめながら、言葉にならない声をあげる。ディディエの身体に力が入り、動きがだんだん早くなる。不意に、私の髪を彼の片方の腕が押さえこんで、首が固定される。それでも、私の身体は彼を受け入れ、リズムを乱すことがない。指をつかまれ、腕で髪を抑えられた私には、もうずっと不思議な予感がしている。このまま、あそこへ連れて行って欲しいと思う気持ちをディディエは裏切らない、やがて、ディディエは小さなあえぎ声をあげはじめる。ああ、と思った瞬間私は声をあげ、そのすぐ後にディディエの体重を一気に身体に感じた。ディディエは肩で呼吸をしているから、当たらないように私は顔をそむけようとしたとき、「マシェリ...」というディディエの声が聞こえた。



  第一章 はじまるときに、’はじまり’は、はじまる  完