放送作家の小野高義です

 

きのう飛行機で8時間

きょうもぶっ続けで10時間寝て

さすがに睡眠負債も返し終わったかなー

と思ってましたが

なんかもうずっと眠くて

時差ボケとかそういうんではなく

ただ寝足りないだけっぽいです

 

あしたが日曜で良かったです

 

  ◇

 

きょうは

朝から雨模様で

関西地方はもっと雨も激しかったようで

高校野球は中止でした

 

きょうの第1試合

日本航空石川と常総学院の試合で

1回戦全てが終了し

32代表全てが甲子園の土を踏む予定でした

 

ここまで行われた15試合で

ホームランはわずかに2本

 

低反発バットの影響が如実に出ているようです

 

  ◇

 

豊川高校のモイセエフ選手のホームランは

低反発バットを感じさせないすごい当たりで

神村学園、正林選手のホームランも

従来基準のバットならどこまで飛んだんだ

という素晴らしい当たりでした

 

確かに

芯に当たれば遠くに飛ぶ

というのは

間違いではない

とは思いますが

 

それでも

ニューヨークから

今大会の試合をざっと見ていただけでも

飛ばないバットは

 

飛ばないにもほどがあるなあ

 

という気がしました

 

  ◇

 

飛ばないバットの目的は

 

「飛びすぎるバットでの打球速度の向上による投手や野手の危険回避」が

第一で

 

さらには

打高筒底による

投手の投球数増加を防ぎ

肩肘の故障から守る

 

といった

 

選手の安全確保

が目的

というのが表向きの理由

ではありますが

 

上のカテゴリーや国際大会での木製バットへの対応

というのが大命題

 

というのが本音ではないか

 

と思われます

 

  ◇

 

個人的には

 

高校野球で全ての選手に

木製バットに対応させる必要は全くなくて

上のカテゴリーでやる選手が

おのおの対策すれば良いし

上のカテゴリーで慣れれば良いだけの話で

 

国際大会なんかも

U18のカテゴリーで勝とうが負けようが

ぶっちゃけ

どっちでも良くて

一番上のWBCで勝てば良くて

実際

WBCで3回も優勝してるんだから

金属バットに何も問題はないよね

 

と思っています

 

  ◇

 

それよりも

 

「飛ばなすぎるバット」

 

高校野球だけでなく

野球界全体がレベルダウンしそうな気が

個人的にはしています

 

  ◇

 

この甲子園大会では

ロースコアの試合が非常に多いです

 

レベルの高い学校同士が闘うと

こうなります

 

ということです

 

単純に

一発長打が出にくく

全国大会に出てくる強豪校なので

外野の頭を越える当たりが少なければ

ミスも少なくアウトを稼ぐことができるからです

 

でも

甲子園に出てくる高校は

強豪校の中でも一握り

その他大多数の

「普通レベル」の高校だと

ちょっと話が違ってきます

 

  ◇

 

ただでさえ

野球人口が減少している中

大部分の普通レベルの高校では

内野ゴロをミスなくさばくことができる確率は

格段に低くなってしまいます

 

ゴロを捕ってファーストに投げる

というだけならまだしも

 

内野の連係

投内連係

外野から内野への中継

 

逆に

走塁の技術

 

といったことは

 

実戦や実戦形式の練習の反復がなければ上達することがなく

それらは

膨大な時間と人数を要します

 

強豪校と普通レベル高校の間にあるこの差は歴然としていて

 

それを埋め合わせていたのが

ワンチャン一振りで得点できる金属バットだったりもしたのですが

 

その埋め合わせができずに

じわじわと

いわゆる野球の「地力の差」が開くことによって

小さいことが積み重なって

大きな大きな得点差につながります

 

事実

東京の春季大会の一次予選では

たまたま秋季大会に早期に敗れた強豪校が

普通レベル校に

40点差以上の大差をつける試合が見られました

 

この点差が

ホームラン連発みたいなものだったら

まだ救いはありますが

ミスにミスを重ねて全然試合が終わらない

という

やられる方も気持ちが折れて

見ているだけでも辛い展開

となってしまいます

 

そういう試合が今後増えていくことは

果たしていいことなのかどうか…

 

  ◇

 

そして

 

投手の肩肘を守る

という目的についても

 

これは逆に言えば

投手が楽をして打ち取れる

ということで

 

上のカテゴリーやプロでやっていこうとする強豪校の投手にとって

本当にそれでいいのか

 

という気がします

 

  ◇

 

日本が世界の誇れる投手力

高校野球の金属バットによって磨かれた

と言っても過言ではない

とぼくは思います

 

スピードを出すこと以上に

低めに制球する

コースを丁寧に突く

配球を考える

ということを身につけなければやられる

 

という練習を日本の投手たちは高校の時からやっている

ということが

全体的な投手のレベルの底上げをしているんじゃないか

と思うのです

 

  ◇

 

逆に

低反発バットが相手であれば

 

そこそこ速い珠で押し込めば

それなりに打たれないっていう

おおざっぱな考えになりそうな気がします

 

肩肘の摩耗というものは

投球回数とか球数以上に

1球1球の負荷の方が重大で

成長期に速い球を投げれば

肩肘をやってしまう危険が増すものだし

 

低反発バットで投手の肩肘を守るというのは

詭弁にすぎないんじゃないか

 

という気がします

 

肩肘を守るなら

思い切って1試合7イニングにするとかの方が

よほど建設的ではないか

 

と思います

 

  ◇

 

低反発バットは

ただ飛ばないだけ

慣れたら木製の方が飛ぶ

 

という話もあります

 

それは本当に木製に慣れるための準備段階として

正しいのか

という気もします

 

金属は金属で

木ではないのだから

木製バットの対応なんてことは

そもそも無理な話ではないのかな

 

とも思います

 

  ◇

 

飛ばないバットを持ってフリーバッティングをして

どうせ飛ばないからホームラン狙うのは損だよね

 

という考え方も

少なくとも

普通レベル高校では

支配的になってくるかもしれません

 

そういう考え方で小さく当てていくバッティングになることで

 

普通校は

ますます強豪校に勝つ可能性を潰していくことになります

 

そうすると

 

強豪校以外で野球をする意味を見出しづらくなってきます

 

ただでさえ競技人口が減っていく中

普通レベルの高校は存在意義をなくし

 

野球は限られたエリートスポーツ

となってしまうのではないか

 

ということをぼくは大いに危惧しています

 

  ◇

 

野球という競技を

国際大会で勝つことが出来る競技にすること

本当に野球界のためになるのか

 

それをすることが

「普通レベル」を切り捨てることになってはいないか

 

日本の野球の強さの原点というのは

 

お父さんが息子にグローブを買ってあげてキャッチボールをする

という文化にあったと思います

 

それが今はサッカーボールに変わっていると言います

 

チームスポーツのエリート競技化は

必ずその競技そのものを衰退させます

 

多くの高校に野球部があって

それぞれが同じ甲子園を目指して試合ができる

 

その裾野の広さこそが日本の野球の強みである

ということを

今一度思い出し

それでも低反発バットが必要なのかどうか

 

考えてみる必要があるんじゃないのかな

 

と思いました

 

というわけできょうはこのへんで

小野高義でした