放送作家の小野高義です
春の選抜甲子園
準々決勝が行われ
準決勝の4校が決まりました!
勝ち残ったのは
関東3校近畿1校
4校中3校は
秋季関東大会での顔ぶれと同じ
まさに
今年の関東の強さを象徴した準々決勝の戦いであると同時に
近畿勢の底力を見た気もしました
◇
関東勢の強さは
一試合目から強烈にその印象を刻みました
健大高崎は
初回から花巻東を攻め立て大量得点
その打撃力は今さら言うまでもないことですが
きょうの先発山田君と
2番手島田君は
ともに甲子園初登板
花巻東の
古城くん赤間君を中心とした強力打線に
山田君が
5回4安打1失点で試合を作り
島田君は2回を無安打無得点
という完璧なピッチング
この大事な準々決勝で
甲子園初登板の2人を敢えて登板させることが出来るほどの
充実した投手陣の層の厚さは
もはや
高校野球のチームのレベルではないですね
そして
3番手に登場した石垣元気君が
きょうも150キロを連発し
最速なんと155キロ
という
選抜甲子園最速記録
きょうは
カットボール、スライダー系のボールもあって
一日置いた準決勝に
照準を合わせに来ているのか
と思わせるほどの仕上がりの良さを感じさせました
逆に
明徳義塾の馬淵監督が言ってたように
この時期の左脇腹の故障は危険
というのは間違いなくて
準決勝での先発
ちょっと心配になってしまいますが…
それでも
きょう
初戦2戦目と好投した下重君を温存できているので
それも健大高崎にとって大きかったのではないかな
と思います
◇
そんな健大高崎と
秋季関東大会決勝で
激闘を繰り広げ勝利を収めた横浜高校
きょうの相手
西日本短大付属は
ここまで
ランニングホームラン2本を含む3本塁打を記録し
1番から9番まで鋭いスイングで
大量得点を挙げてきました
好投手織田君を相手にした今日の試合も
その150キロに迫るストレートに力負けすることなくヒットを重ね
2回には先制点
そして
今大会初登板の先発山口君は
3回を0に抑えるなど
前半押し気味に試合を進めたのは
西日本短大付属の方で
横浜高校には
少し嫌な流れに傾きかけた場面もありました
しかし
6回表
織田君からマウンドを受け継いだ奥村君のピッチングが
そんな流れを一気に変えてしまいました
3者連続三球三振
これを
イマキュレートイニング
と呼ぶことをこの試合で初めて知りました
この直後の6回裏に
横浜高校は一挙3得点で西日本短大付属を突き放しました
試合後のコメントで
奥村投手は
「流れを変えるのは三振しかない」
と
狙った上でのイマキュレートイニング
だったことを明かしています
これぞまさに
エースの仕事
と言えるでしょう
152キロ右腕織田君に注目が集まりがちですが
実は
エースナンバー奥村君の存在は計り知れないほど大きく
そういった
エースの自覚とプライドを持った
真のエースがいる
というところは
まさに松坂世代の横浜高校を思い起こさせる
素晴らしいチームだな
と思いました
◇
唯一残った近畿勢
智弁和歌山
唯一残った中国四国勢
広島商
伝統校同士の一戦
ぼく的には
隙を見せれば広島商
と見ていましたが
勝負を決めたのは2回の裏
まさに
そんな広島商の野球のお株を奪うような
智弁和歌山の
隙を突いてえぐるような攻撃でした
智弁和歌山といえば
伝統的に
バットを振り込んで
圧倒的な打撃力で勝ち上がっていくチームで
前 高島仁監督時代は特に
送りバントとかほとんどしない
スケールの大きな野球でしたが
今日の試合では
9番の黒川くんに
ツーストライクと追い込まれてもなおバントのサインを出して
それを見事に決め
さらにそれが(記録的に)内野安打となったことで
この回の3点の流れを呼び
試合を決めた形となりました
ここ数年
強打の智弁和歌山が
選抜は6年間勝てず
夏には出場を逃すなど
苦しい時期が続いていましたが
伝統の強打に
緻密で戦略的な隙を突く狡猾さも備えた
より攻撃的なチームにバージョンアップしたような気がします
ベスト4
唯一残った近畿勢
最後の逆襲となるのか
準決勝にも注目です
◇
そして第4試合
関東秋季大会でベスト4となり
高校野球関係者を大いにザワつかせた
浦和実業が
全国の舞台でも
ついにベスト4に上り詰めました
7回から登板した石戸君はきょうも4イニングを無失点に抑え
甲子園18イニング無失点
つまり
2試合連続完封
と同じという
もはや離れ業で
むしろ
10回裏
タイブレークの
ノーアウト一二塁からの状態でも
得点を与えなかったというのは
連続完封以上にすごいことをやってのけているんじゃないか
とさえ思います
クセのあるフォームで
球速120キロ台
なんで打たれないんだろうという
イロモノ的な見られ方が
当初は多かったと思いますが
イマや
一体どうやってこれを攻略すべきか
全国の強豪校の課題となるほどの
大きな存在となっているとも言えるでしょう
そんな石戸君以上に大きかったのは
先発駒木根君の投球でした
前日の東海大札幌戦は
先発して4回を2失点ながら
見ていて、いつ打たれるのか
と危なっかしい投球に見えましたが
きょうは
強打の聖光学院を
丁寧にコースをつく投球で
しっかりと封じていました
6回に打たれたスリーランホームランは
むしろ
打った細谷くんが素晴らしかったというべきで
この好投が浦和実業に流れを呼び寄せていたことは
間違いありません
そして
タイブレークでの集中打も
前日の
東海大札幌戦の8回の攻撃を彷彿とさせる見事な畳みかけで
特に下位打線が
小さく鋭く、前の方で叩いてライナーで打ち返す
という
低反発バットのお手本のようなバッティングをしていたのが
非常に見事でした
タイブレークのイニングで一挙8点は大会新記録で
その集中打を実現する打撃力も
浦和実業快進撃の大きな要因の一つです
そしてその集中打を生んだのは
6番工藤君のツーストライクからの送りバント成功でした
きょうは
智弁和歌山といい浦和実業といい
ツーストライクからの送りバントが
1つポイントになっていた気がします
送りバントという戦法を最後まで遂行することができる
ということは
それもまた強いチーム、得点力のあるチームの力
ということでもあるのだろうな
と思いました
ところで
工藤君のお父さんは
元いいとも青年隊の工藤兄弟のお兄さんの方
ぼくも10年以上携わらせていた番組で
浅からぬ関わりがある中
アルプスから
いいとものテーマソング
いいトモロー
が応援ソングとして流れていたのが
なんかしみじみうれしかったです
◇
新チームになってから
浦和実業に土をつけたのは
関東大会準決勝の横浜高校だけ
両チーム決勝まで進めば
新チーム無敗と1敗のみの学校が
全国のてっぺんで対決
となりますが
果たしてどうなることやら…
というわけできょうはこのへんで
小野高義でした