放送作家の小野高義です
ギリギリキャンプイン直前に契約に合意した佐々木朗希投手
ですが
昨年の3月に選手会を脱退していたことについて
選手会事務局長の森忠仁氏が
「非常に情けなく残念」
とのコメントを残しました
情けない
というのは佐々木朗希投手にむけられたものではなく
森事務局長が
自ら奔走して制度を作り上げてきた選手会というものが
一人の有望な選手に受け入れられなかった
ということでの自分に対する「情けない」
というニュアンス
ですが
それだけ
森事務局長の選手会に賭ける想いの強さがうかがえます
◇
森忠仁…というプロ野球選手の名前は聞いたことがないので
きっと事務方のスペシャリストの方
なのだろうと思ったら
実はれっきとした
元プロ野球選手でした
1962年6月2日生まれ 現在61歳
1980年
千葉商業からドラフト外で阪神に入団したものの
プロでは一度も一軍入りすることなく
1987年に現役を引退
…という
プロ野球選手としての実績はほぼなしという感じの森氏が
何故選手会の事務局長を務めているかというと
引退後に
証券会社で10年
保険代理店でも営業職を経験しており
先代の事務局長だった
松原徹さんが
プロ野球界出身で一般企業社会経験者を探していた
ということもあって
2000年に選手会で働くことになり
2015年から亡くなった松原徹さんに変わって事務局長に就任した
という流れのようです
◇
先代の事務局長、松原徹さんに選手会に誘われたとき
「現役選手たちのために、おかしいと思ったことを買えていかないか」
と言われたのが
森氏が選手会に転職することになった決め手
だったと言います
その後
最低年俸の引き上げ
統一契約書の見直し
オフシーズンの確立
球場の安全対策(地方球場のラバーフェンス設置やダグアウトのエアコン設置など)
今では当たり前となっていることも
一つずつ粘り強く取り組んで
実現してきたそうで
まさに
選手ファーストの実現のために心血を注いできた20数年
と言えると思います
それだけに
そんな選手会を脱退する
という選手がいることを
とても悲しく思ったということは
想像に難くありません
◇
「労働組合自体というのは団結していろいろなものを変えていって。先輩方がそうやってきた。もともとFAもなかったりポストシーズン(のオフ)もなかったわけで。そういうのを団結して勝ち取ってきた」
と森氏が言うように
今や選手会は
個人事業主である選手が
より権利を主張できる後ろ盾になってくれていて
むしろ
所属しないメリットが
ぼくらレベルではほぼ見当たらないのに
なんで佐々木朗希投手が
わざわざ
去年の3月
つまりWBC前という時期にそんなことを言い出したのか
ちょっとわかりかねます
むしろ
当時21歳の佐々木朗希投手が
そういう発想に至るということが不自然に思えます
◇
選手会の規約みたいなものの詳細はわかりかねますが
その契約の文言を読み解くと
もしかしたら
メジャーとの契約に不都合な問題などが
あるのかもしれませんし
あるいは
選手会に所属していないことで
メジャーに行きやすくなる「裏ワザ」的な抜け道が
あるのかもしれません
いずれにしても
そんなことを
21歳の青年が読み解けるとも思えず
その発想に至る思考回路があるとも思えず
では衝動的に選手会を脱退
という理由にも乏しく
ということは
どう考えても
裏で糸を引く大人がいる
と考えた方が筋が通るのですが…
真実は当事者しかわかりません
いずれにしても
選手会にいようがいまいが
その類い希な才能と輝いているはずの未来を損なうことがなく
野球に打ち込めるまわりの大人たちであってほしいなあ
と願うばかりです
というわけできょうはこのへんで
小野高義でした