放送作家の小野高義です

 

山川穂高選手の人的補償が和田毅投手

という第一報が出て非常に驚きました

その後

甲斐野央投手の獲得を西武球団が発表して

どういうことだ?

と思いました

 

今回の山川穂高選手FAに伴う人的補償は

日本のFAシステム

ひいては

日本のプロ野球の構造上の

よくないところが

たまった膿のように吹き出したような気がします

 

  ◇

 

まず

第一報で

和田毅投手が人的補償で西武へ

という報道が

スポーツ各紙

そしてネットで拡散したことについてですが

報道の出所を見ても

西武が和田投手を指名した

ということは

どうやら間違いなさそうで

 

ということは

 

結果

和田投手の移籍はなくなったものの

そもそもソフトバンクは

和田投手をプロテクトしていなかった

 

ということになるようです

 

  ◇

 

和田投手といえば

最後の松坂世代

今年43歳となるベテランでありながら

昨年は自己最速を更新する149キロを計測するなど

衰え知らずのまさに生きるレジェンド

 

実績だけでなく

自主トレの「和田塾」

には

ソフトバンクのみならず

各球団の左腕投手たちがこぞって参加してくるなど

技術に裏打ちされた人望の厚さも

よく知られているところです

昨年は先発ローテの一角として

8勝6敗防御率3,24という数字を残しましたが

 

そんな数字以上に

チームとファンにとっては絶対に替えの利かない顔であり

精神的支柱であることは

言うまでもなく

 

万万が一にも

失ってはならない存在

なはずなのに

 

そもそも

「プロテクトしていなかった」

ということ自体が

大問題ではないかと思います

 

  ◇

 

確かに戦力的に見れば

ホームラン40本以上を確実に打つ山川選手を獲るために

8勝6敗の左腕を見返りに

というのは

戦力値の計算上は正しいかもしれないですが

 

和田投手をプロテクトから外すということは

 

ソフトバンク球団というのは

そういう戦力値の計算だけで選手を売り買いする球団なんだ

ということを

内外に示してしまったことになります

 

このことが

チーム内外に与える影響が少ないわけがなく

 

ソフトバンク

本当にどうしちゃったんだろう

 

別にソフトバンクファンじゃないけど

心配になります

 

  ◇

 

そして

そんな和田投手ではなく

甲斐野央投手が

人的補償で西武に移籍することになった

ということについて

 

日刊スポーツが報じたところでは

 

西武は当初、日米通算163勝和田毅の指名を打診したが

チームの顔の流出に対する反響の大きさなどを鑑みて

両球団が話し合って急きょ方針を転換

 

とあります

 

 

「反響の大きさを鑑みて」

方針を変換

っていうのは

 

文章の上では

両者の話し合いによって

という意味合いになりますが

 

事のいきさつから文脈を読み解くと

反響の大きさを鑑みたのは

ソフトバンク

一方的に反響の大きさを鑑みて

慌てて代案を立てて西武と話し合って結論を出した

 

ってことになるんだと思います

 

っていうか

人的補償のルールって

そんなに

なあなあで決めていいもんだったけか?

 

と思ってしまいました

 

  ◇

 

ネットでは

「岩瀬式プロテクト」

という言葉がトレンド入りしました

 

岩瀬式プロテクトとは

 

2017年に日本ハム・大野奨太捕手が

海外FA権を行使して中日に移籍した際、

中日が日本ハムに提出した28人のプロテクトリストから

岩瀬投手が外れていると噂され

岩瀬投手は人的補償で指名された場合には「引退する」と発言したので

日本ハムが指名を見送ったのではないか…

 

という顛末の言葉です

 

今回のケースに確かによく似ているような気もします

 

しかしこの岩瀬式プロテクトの場合は

岩瀬投手に引退されたら困るのでそら見送るわ

って引き下がった形で

特に中日球団からのアクションはなかったと推察されますが

 

今回の和田投手の場合は

どう考えても

ソフトバンク側が

「すんませんなんとかなりませんか」

っていうアプローチがあったような気がします

 

  ◇

 

もしかしたら

西武としても

 

山川穂高選手については

不祥事が起きても見捨てることなく

再起の機会を与えた

と懐の大きさを見せてはいたものの

正直なところ

処遇について持て余していたところがあって

 

それを高額で引き取ってなおかつ人的補償か金銭で戦力補充もできるので

ソフトバンクにちょっとした負い目みたいなものがあった

のかもしれません

なかったのかもしれませんが

 

  ◇

 

とはいえ

 

どっちにしても

 

「プロテクトから漏れた選手を誰でも指名できる」

というのが

Aランクの選手のFAに対する人的補償のルール

なはずなのに

 

それが

球団同士のなあなあの話し合いで

「あ、やっぱ今のなしねー」

みたいなぬるぬるしたやり方で決められたら

FAってなんだ

人的補償ってなんなんだ

これじゃトレードと変わんないし

 

和田投手も甲斐野投手もたまったもんじゃない

 

ってことじゃないでしょうか

 

  ◇

 

結局

FAってなんだってことなんですが

 

アメリカでは

契約がフリーである状態

っていうシンプルな考え方だし

 

本来それ以上でも以下でもない意味であるはずで

逆に

人的補償ってなんだよ

 

って話だと思います

 

  ◇

 

この制度が出来た時

日本には

球団ごとに人気の格差があり

財力にも差があり

戦力の不均衡が生まれる

 

という

 

「各球団」からの強い要望があったから

こういう補償制度が生まれた

といういきさつがありますが

 

地上波のテレビは巨人とセ・リーグばっか

という時代なんかとっくに過ぎ去って

球団の人気の差ってそんなにないし

財力は巨人とソフトバンクが突き抜けて見えるけど

メジャーリーグのほうが財力の格差の大きさを感じるような気もします

 

今年の山崎福也投手が日本ハムを選んだり

ノンテンダーの中田将選手が中日を選んだり

っていうのも

選手それぞれの立場で行きたい球団っていうのがそれぞれにあって

 

今や

人的であれ金銭であれ

FA選手の「補償」が

本当に必要な時代なのか?

って思って

 

人的補償なんてものがあって

誰をプロテクトするとかしないとか

みたいなややこしい制度作るから

誰かが悲しい思いしたりファンが怒ったり悲しんだりするわけで

 

そんな人的補償制度

やめちまえばいいのにな

 

と改めて強く思った夜なのでした

 

というわけできょうはこのへんで

小野高義でした