放送作家の小野高義です

 

井上尚弥選手が

タパレス選手を下し

スーパーバンタム級の4団体統一王者となり

2階級4団体統一王者制覇

という快挙を成し遂げました

もちろん日本人初

 

というだけでなく

 

そもそも4団体統一王者自体が

これまで9人しかいなくて

これが2階級

となると

今年7月

スーパーライト級とウエルター級でも達成した

アメリカのテレンス・クロフォード選手

ただ1人だけで

 

井上選手は

世界で2人目となる快挙

を成し遂げたのです

 

  ◇

 

よく

スポーツ選手の活躍が語られる時

「これはたとえて言うなら野球で言えば大谷選手に匹敵する活躍」

みたいなことをぬかすの見る度

「ぜんぜんちげーよ」

と舌打ちするのですが

 

井上尚弥選手に関しては

まさしく

大谷翔平選手とおんなじくらいすごいことをしている

 

と言って良い

唯一の日本人アスリート

だと思います

 

  ◇

 

日本人は

ボクシング大好きです

 

街頭テレビの頃は白井義男選手が日本人初王者で視聴率98%という

伝説でしかない視聴率がありますが

 

そういうのをなしにしても

昭和の時代は

ファイティング原田選手は必ず50%以上とるなど

 

タイトルマッチともなれば

40&以上は当たり前で

 

ぼくら世代が小学生の頃は

具志堅用高選手が全盛期で

その防衛戦は

じじいもとうちゃんも子供も

テレビの前にかじりついて見ていたものです

 

それは昭和の話

ってだけでなく

平成になってからも

 

辰吉丈一郎選手の試合は毎回30&近く行って

辰吉丈一郎と薬師寺保栄の試合は39.4%

亀田3兄弟の試合も高視聴率まちがい梨で

内藤大助選手の試合は43.1%

その後の内藤大助選手の防衛戦も

軒並み25%以上を獲得しています

 

カリスマ性のあるスター選手の防衛戦は

各スポーツの日本代表戦か

それ以上のプレミアムなコンテンツで

 

井上尚弥選手のカリスマ性と

これまでの日本人選手の実績を遙かに凌駕する世界的な活躍

をもってすれば

WBCやW杯レベルの注目度と視聴率が期待できる…

 

…はずなのに

 

なんでテレビで放送しないんじゃ…っつう話です

 

  ◇

 

今回の井上尚弥選手の中継は

 

Lemino

とかいうところの独占生中継でした

 

なんやねんLeminoて

どっかのバッタもんのバンドみたいな名前は

 

と思って調べたら

docomoの動画チャンネルでした

 

dTVじゃなかったんかーい

と思ってたら

dTVは今年の6月30日に終了していました

 

docomoユーザーなのに知らんかったです

 

  ◇

 

とはいえ

ぼくが特別おマヌケってわけでもなくて

たぶん

Leminoの知名度って

そんなもんだと思うんですよ

 

特に

ボクシング好きな昭和世代

 

たぶん

ボクシング一番好きなのって

ぼくよりもさらに上の世代

団塊の世代とか

そういう人たちとかが中心だったりして

 

そんな人たちが急に

レミオロメンだか米津玄師のレモンだかわかんない名前のところで中継やってる

って言われても

 

ほぼついてけないんじゃないかなあ

 

と思ったりするわけです

 

  ◇

 

きのうのブログだったり

これまでにも

放映権料のことについて綴らせていただきましたが

 

ボクシングに限らず

国際的に人気のスポーツコンテンツは

マネーゲームの手札と化して

値段がつり上がるばかりで

貧乏人

というか

貧乏な国や団体には手が出なくなってきている

という

非常に良くない傾向があります

 

  ◇

 

今日のニュースで

日本の一人当たりの名目上のGDPが

G7の中で最低となり

イタリアに抜かれた

と報じられて

 

あのイタリアに抜かれた

 

というのは

まあまあショッキングでした

 

ぼくらが小学生とか中学生の頃

 

イタリアのリラが大暴落して

1リラ0,0006円

というのを

度々世界まるごとハウマッチで目にする度

なんて貧乏な国なんだと子供心にすり込まれて

 

そんな貧乏な国だからそこらじゅうにスリがいて

旅行になんか行けたもんじゃないぞ

という話を聞く度に

 

ああなんて日本はいい国なんだ

と思っていたものですが

 

今となっては

日本が世界からそう見られてるって話です

 

  ◇

 

そんな日本だから

ってことも、一因としてはあるかもしれませんが

 

とはいえ

 

それでも放映権料の高騰振りには辟易とさせられるばかりで

 

あらゆる国のあらゆる所得帯の人たちが見るからこそ

スポーツは大衆娯楽として存在している意義があり

あらゆる人たちが見られるからこそ

スポーツは興行として成り立っている

という大原則を

行き過ぎた資本主義が置き去りにして崩壊させようとしている

というふうに見えて仕方がないです

 

  ◇

 

これだけの国民的スポーツの国民的試合なんだから

どっかの企業一つが金出して権利を独占する

なんてことやってないで

 

中継に携わるあらゆる団体が

みんなでお金出しあって

どこでも見られるようにしたら

みんなが幸せになるのに

なんでそうならないかなあ

 

と思ってしまう

井上尚弥選手快挙達成の夜なのでした

 

というわけできょうはこのへんで

小野高義でした