放送作家の小野高義です
9月に入り
ますます野球界が騒がしくなってますね。
なんといっても千賀投手がノーヒットノーラン!
まあ
あれだけのえげつないボールを投げる投手ですから
ノーノーの一回や二回
全然不思議ではありませんが。(千賀)
先発なのにどこの回でも160キロ超えるストレートと
バカみたいに落ちるフォークボール
スライダーにカットボールに…全部えぐい
逆にプロ野球のバッターはよくバットに当ててるなあ
と思うくらいです。
こんなのが育成から育っていくんですから
本当に人間の成長というのはわからないしおそろしいし夢があるものですね。
◇
U-18では
そんな千賀投手よりも速い球を投げる佐々木朗希くんが
ついに初登板…
…だったんですが…
なんかおかしいなあ
という感じはありましたね。
ボールが抜け気味で指にかかってない感じ
それでも153キロ出てるのは驚きですが…
で
まさかの一回で降板…。
ボールとユニフォームに血がついてましたね…。
血マメが再発していたようです。
まあ、三冠王王貞治物語ではないですが…
血染めのボールを国際大会で投げてる場合じゃないですからね…
交代はいたしかたないと思います。
◇
その後の日本、素晴らしかったです。
特に
DHを解除したあとの
本職投手の西くんと宮城くん!
西くんも最速151キロ
何より気迫で強打の韓国を制圧してましたね。
6回の宮城くんのバックホームは
ドンピシャのまさにストライク返球!
そして9回の西くんのバックホームは
ちょっとあり得ないレベルでしたね!
レフトライン際でやや深めって
バッターランナーがセカンドに行けるコースくらいなのに
それをバックホームで刺すっていう…
もうダメだと思ってからの奇跡のバックホームでした。
154キロの肩って
外野手に当てはめるととてつもないんだなあ
そういえばイチロー選手が思いっきり投げても148キロくらいだから
それ以上投げれても不思議じゃないか
と
理屈では思えても、
やっぱりすごいもん見たなあ…という気がしました。
◇
韓国の先発投手
ソ・ヒョンジュンくんも |
素晴らしいピッチャーでしたね。
明らかに日本戦に照準を合わせてきたという登板間隔で
今日先発したようですが…
もちろん体格とかパワーもあるのですが
投げ方見てて
最近何かとよく見ている「ちとく魂」さんの最新スローで言う
「120度座り込み」
と
「引き戻し」
がキレイにできている理想的なフォーム
で
だから球筋がとれもキレイで
コントロールも安定し、アウトコースにビタビタと決まってましたし
スライダーのキレも素晴らしかったです。
参考動画
↓
野球ピッチャー必見動画!発見、革命的技術?遠心力で超加速スクラッチ、向こう側で回内、速い球を投げる方法コツトレーニングと鋭い腕の振り方
マネしたくなる理想のフォームだけどなかなかできない
本当に良い投手でした。
100球近くなってきて
フォームのバランスがくずれてコントロールも乱れてきましたけど
プロでさらに体の力ができてきたら
末恐ろしい投手だな
と思いました。
◇
で、日本は先制できたものの
エラーがらみで同点
延長に入って
タイブレークで2点リードしたものの
これまたエラーがらみのサヨナラ負け…
選手たち、泣いてましたね…。
まあ
仕方ないです。
石川くんも林くんも
エラーは誰もがする可能性のあることで
石川くんは打撃でチームを勢いづけ
林くんは
投げるのはもちろん、ベンチでの声出しも全力でした。
声出しがちゃんとできるって
なかなか出来ることじゃないし
重要なんですよね。
特に一戦必勝のこういう大会では
効果的な声出しでチームが一気に波に乗ったりするものですから。
◇
彼らが
負けて本気で悔しがる姿を見て
素晴らしい選手たちだな、と思いました。
悔し涙を流すほど悔しいと思う勝負へのこだわりとその瞬間に芽生える成長の糧
「勝ちたいと思って戦った。こうすれば勝てたのに…」
それがわかっているからこその悔しさは
野球をしていく上での血となり肉となっていくことでしょう。
将来のある代表選手たちにとって
この経験こそが
優勝するかしないかよりもはるかに
重要なことなのではないでしょうか。
◇
日本代表の打撃コーチ役
八戸学院光星の仲井監督が
降雨コールドの台湾戦のあと
「ヘラヘラしてる場合か、世界一は甘ないど!」
と迫力ある関西弁でカミナリを落としたことが
賛否を呼ぶ話題となりました。
まあ
直接見てはいないのですが
記事の文脈から見ると
至極当然のことなのではないかな
と思いました。
仲井監督は
勝利を強要して怒ったとかそういうことではなく
データ集めのスタッフさんが徹夜で分析をしてくれているのに
何をお前らヘラヘラしとんのや
ということでブチ切れた
ということのようです。
つまりは
筋の通ったカミナリ親父の言い分ですね。
何かすればパワハラといわれなかなか正論を言えない世の中ではありますが
人としてお前ら…!
っていうことをしっかり言えるというのは
高校野球の現場って
けっこう健全なのではないかな
と思ったりします。
◇
これで日本は
オープニングラウンドから持ち越した戦績が
2勝2敗となり
韓国、オーストラリアと並んで3位。
決勝の2チームに残るためには
どうやら
現在1位の台湾、アメリカが
ともに負けなければ可能性はなくなります。
アメリカの相手は
こちらも後のないホームグラウンドの韓国で
韓国の勝利もあり得ますが
台湾の相手は
スーパーリーグ未勝利のカナダ。
モチベーションのない中で
好調の台湾に勝つのは難しいかと思われます。
というわけで
日本が決勝リーグに進むのは極めて難しい状況ではありますが
まあ
いいではないですか。
少なくとも今日の韓国戦は
彼らの野球人生の
大きな財産となる事は間違いないのですから。
◇
高校生にとっての国際試合は
経験と教育の舞台
だと思うのです!
何度かブログでも振れていますが
多くの大人が
彼らに国を背負わせすぎだし
優勝を期待しすぎている
と思います。
実は一度も優勝できていないからといって
別にいいのです。
その後
彼らが成長して
成長した彼らが大人の日本代表になって世界と戦い
あるいは
メジャーリーガーとなって
世界に羽ばたいたり
そのための経験の場であれば
別に負けたっていいのです。
負けたことに悔しがれる精神があれば
野球選手としてさらに成長できるはずです。
◇
なので
「今年優勝できなかったのはなんでだ」
みたいなことで
大人たちがよくわからない強化案とかを考え出して
一部の球児が世界で闘うための先鋭化したプランで
高校野球の裾野をないがしろにすることを言い出す
(例えば、金属バット廃止や強豪校に有利にしかならない安易な球数制限蕩々)
ことだけはないようにしていただきたいものです。
話は戻りますが
千賀投手は高校時代は誰も知らないひょろひょろのピッチャーで
いわば縁故みたいな経緯で育成指名されたような
(スポーツ店店主の強い推薦によるものというちょっと有名なはなし、楽天とロッテは、こいつは無理だと指名しなかった、らしい)
そんな高校時代から
メジャーでも二桁勝てるであろうという160キロ投手に成長するわけですから
そんな18歳ぐらいの段階で
勝つためにああしろこうしろと
大人が首を突っ込みすぎるのは
野球界のためにも良くないような気がしてならないのです。
それよりも
負けて負ける悔しさを学ぶことの方が
どれほど成長の糧になるか
今日の韓国戦を見て
改めて思った次第です。
がんばれ!Uー18の選手たち!
それではきょうはこのへんで
小野高義でした