湘南ビーチFM『Hits Around The Clock』2022/12/18

2022年12月選曲「本年もお世話になりました、メリークリスマス、来年もヨロシク

お聞きくださった皆様、ありがとうございました!

 

・Jingle Bells / Don Charles, The Singing Dogs 1955

 わんわんわん、わんわんわん、わんわんワンワンワン。人類はこの作品を作っただけでもこの大宇宙で評価され永遠にその栄誉を讃えられるべきだと思います。地球侵略など以ての外。おととい来やがれってんだ。そしてわんわんわんだけでなく、間奏のギターが最上級に味わい深い。時折真夏とかに聴きたくなるのが玉に瑕。メリークリスマス。

 

・Hells Bells / AC/DC 1980

 ローリングサンダーだとかハリケーンだとか云うと日本の不良のようですがやはり欧米では地獄に行くようです。貴方にとっての天国が他の人からすれば地獄であるようにその境目は曖昧ですがその曖昧さをあまり追求してクリーンナップするとそれはそれで息苦しく窮屈になるので程々がよろしいかと存じます。人を許す気持ちが大事です。それも限度がありますけどね。何の話か。この曲のギターソロも地獄ではなく神の領域です。

 

・Hell’s Bells / Bruford 1979

 メインテーマは16分の19拍子。頭は頭ですが連続すると頭が食っている(シンコペーション)ように感じられるのは、テーマのメロが7+7+5と奇数拍複合フレーズであることで、それが変拍子好きの琴線に触れるのであります。その後で8分の7拍子を経て一瞬4分の4拍子になるところも素晴らしい構成力であると思います。難しい曲ではありますが、ワタシはこの曲を聴くと音楽の自由を感じるのです。最近の音楽はちょっと自由がないかなと思ったりも致します。

 

・Wildest Dreams / Asia 1982

 歌い出しのところのピアノと歌が少しタイミングがズレていたり、最後のドラムソロの途中でちょっと失速気味に感じるところがあったり、若い頃はそう云うのを見つけて指摘してはああだこうだと得意気に話し合っていたものですが、ようやく最近になってそんなことは微々たることで、この唯一無二の疾走感であったり、アイディアの過剰なほどの投入具合であったり、それこそが神髄であると真に理解出来たような気が致します。そして強烈な反戦歌であることも今一度認識し直しました。人々の熱狂が地獄に繋がるのだ、と。

 

・Up, Up & Away / Rajput & The Sepoy

 ぴゃんぴゃんぴゃんぴゃんぴゃーんぴゃぴゃんぴゃんぴゃんぴゃぴゃぴゃんぴゃんぴゃんぴゃん。最初のメロディー4小節分を平仮名で書くとこうなりますが、もうこの中に脱力ポイントが幾つも内包されていると云う奇跡のシタール。これも人類史上に燦然と輝く究極の無用の長物。いや無用ではありません。ワタシはアナタをアイシテマス。心から。これからもずっと。

 

・炭坑節 / ザ・スペイスメン

 日本のイイ感じも是非愛して欲しい。このオシャレさ。そのオシャレさをエレキでやってみている気概。時代性。温故知新。そこにちょっとだけギャップが生まれて微笑が溢れる。場所がどこであろうと、欧米だろうが、日本だろうが、地球上のどこでも、人々のギャップから笑顔が生まれるのです。その笑顔がもっと増えれば好いのにと思います。今日はそんなコメントばかりですみません。

 

・All by Myself / Eric Carmen 1975

 おーるばーいまーいせえええ。この曲はセリーヌ・ディオンのカヴァーバージョン(1996年にチャート4位)も有名ですがワタシにはどうもちょっと。その理由は2番のAメロからサビに行く間の世にも美しきスライドのギターソロがないのです。ワタシにはそれも重要ポイント、と云うか大間奏のラフマニノフ”ピアノ協奏曲第2番”をずっぽり切り捨てたシングルバージョンでもこのギターソロは切ってない。世には様々なギターソロがありますが、この曲のソロは完全に曲の一部であって歌の一部でもあると思うのです。そうした崇高なギターソロが世の中には幾つもあって、ワタシはそれを心から愛する人間です。

 

・Could it be Magic / Barry Manilow 1975

 ああ。ワタシはこの曲が好きだ。9月にアラン・シャンフォーのバージョン(クークー)をかけて、10月にシングルバージョンをかけて、以来ずっとワタシの頭の中にこの曲が鳴り続けているのです。中学1年生の頃にこの曲を初めて聴いて以来、ずっとこの曲がワタシの中にある。そして更に新たな発見もある。冒頭のピアノ(ショパン“前奏曲第20番ハ短調”)の2番目の和音がオリジナルのショパンだとFm7になってる(E♭の音がずっとステイ)のね。3番目はG+5(これもE♭ステイ)か。バリーマニロウの方が堅苦しいトライアドコードを使ってクラシカルである(ように感じる)のがヒジョーに面白い。更に1番が終わって長めのシンセソロが入って2番のAメロが終わってようやくベースとドラムが登場するその待機力と云うか思わせぶりと云うか更に最後のサビ繰り返しでコンガが出てコーラスが来てこれでもかこれでもかとベイビーアイウォンチュークーディッビーマージッで盛り上げるのがもうたまりませんわのっさん感激。多分暫くはこの曲と共にワタシは歩いて行くと思う。そして一生をかけて愛し続けると誓います。

 

・The World Anthem / Frank Marino & Mahogany Rush 1977

 ベタと云われようがダサいと云われようが好きなものは好きなのだ。この曲もそうだし、フランク・マリノ自体もそう。最近ではいざと云う時には本当にフランクのように弾いている。意識してそうしているし、無意識になることもある。色々なギタリストが好きで色々なアイディアやフレーズをコピーして取り込んで来たけれど、やはりフランク・マリノからの影響は多大で特別である。フランク・マリノを意識してプレイした時にワタシは本当に自由になれる。自由と云うのは自由自在と云うよりも魂の解放であるかと思う。自分が音を出していると云うよりも自分が音の一部となって巻き込まれて音の入口と出口の両方になっている気分になっている。全く年末でもクリスマスでも何でもない話で終始してしまってすみません。音楽への気持ちが減るどころか増えて溢れる2022年となりました。この調子で来年も音楽ラブラブスキスキスーで参ります。来年もヨロシク。

 

・Sphere of Innocence / Allan Holdsworth 1992

 エンディング曲であります。本年もお世話になりました。

 

お楽しみ戴けましたでしょうか。

次回はお正月を挟みますので、4週目の2023年1月22日(日曜日)がワタシの出番です。

来年もよろしくお願いします!