湘南ビーチFM『Hits Around The Clock』2022/07/17

2022年7月選曲「ちょっと変わったギター特集」

お聞きくださった皆様、ありがとうございました!

 

・Tomorrow Never Knows / The Beatles 1966

 番組でも申し上げましたが、オリジナルにして最高峰、これ以上はないと云う領域に最初から達していた曲です。この曲が時代の壁に穴を開けて、わけわからんものが当時の世相にぎゅわーっにゅわーっと溢れ出て予定が完全に狂いましたね人類。今更ワタシ如きが云うまでもないですがざまあみろってんだ。逆回転の威力を知れ。

 

・See Emily Play / Pink Floyd 1967

 エコーにリヴァーブにファズにスライドだ。ギターサウンドを音楽的な平野から飛び発たせて自由な空に解き放ってしまった一例。こんなに急速に加速してしまったからどこにいるのかわからなくなっちゃったのかな。今もう一度訊ねてみたい。あなたがここにいてほしい。

 

・The 'in' Crowd / Bryan Ferry 1974

 オリジナルはドビー・グレイ。1964年発表で、作者はビリー・ペイジ。良く1965年にラムゼイ・ルイス・トリオがインストルメンタル・バージョンでヒットさせた曲。ブライアン・フェリーのバージョンはベースがジョン・ウエットン。ワタシが中学時代に仰天したギターソロはデヴィッド・オリスト David O'list のプレイ。ソロの入り口がフランジャーでぐじょぐじょになっているのはオリストのアイディアかプロデューサーのアイディアか、はたまたブライアン・フェリーの好みなのか。この迸り出るようなソロに無上の快感を感じてしまった14才くらいのワタシはもうトリコジカケ。たまにフィードバックの渦とモジュレーションの波の中で揉まれて翻弄されて洗われたくなるのです。これ暫く忘れていたんです。偶然また出逢ってしまって百年目。ワタシがシンプルなギタリストになれない理由がここにあったのです。なんのこっちゃ。

 

・Marionette / Mott The Hoople 1974

 この曲に至っては中学に入ってすぐ、カセットにエアチェックして聴いておったのです。このきゅおんきゅおんでぎゅおんぎゅおんなギターだかバイオリンだかに遊んでもらっていたのです。曲の途中で笑い声が入るのもスキな理由。いつか笑い声の入る曲特集もやりたいです。でも肝心な植木等さんをかけられないかな。まあいいか。

 

・Driven to Tears / The Police 1980

 これも暫く聴かないでいたのです。聴くとこの音を出したくなってしまうからです。コンプレッサーにコーラスとデジタルディレイとリヴァーブでカッチャーンチャッキーンとやりたいんです。ダイスキなんですアンディー・サマーズ。だけどねーだけどねー他のもスキだからこっちには行けないのごめんね俺。俺に謝る俺。もう何だかすっかりわかりませんが、いつかポリス特集でもやってずっと身悶えていたいとも考えます。一番スキな曲はねー(ナイショ)。

 

・Sunshine in The Shade / The Fixx 1984

 カッチャーンチャッキーンギターの完璧なる進化形。ギタリストはジェイミー・ウエスト・オーラム。ここまでやってくれるとその潔さに感服すること頻り。コンプレッサーはValley People dyna-miteってヤツ。存在は知っていたけど見たことはない。もし当時こんなのをゲットしていたらワタシはカッチャーンチャッキーンギターの人になっていたかも知れません。でもこの曲のギターソロの後に続くシンセのメロディーの在り方の方が後の音楽に与えた影響が大きいのではなかろうかなんて考えたりもするのです。

 

・Abracadabra / The Steve Miller Band 1982

 ちゃんと弾けば実は凄くちゃんと弾けるのにちゃんとやらないスティーブ・ミラーのひねくれぶりと云うか雑さと云うかまあそれが狙いでもあるのでしょうがアブラカダブラ。歌の呪文的魅力と云うか特殊性と云うか今聴くとホントに変わってるんだよなーアブラカダブラ。後半のギターソロがぴゅっぴゅっぴゅっぴゅっわわわわわーって同じことやってるんだけどテープの切り貼りとかでやってるのかと思いきやこれ各回それぞれちゃんと弾いてるのねだから毎回少しずつ違うんですよアーミングの感じとかねアブラカダブラ。雑そうに思えて丁寧にやってるのよ見習わなくてわねアブラカダブラ。

 

・Owner of a Lonely Heart / Yes 1983

 これはもうトレヴァー・ホーンのプロデュースの勝利のように思われましょうが、いやそれで当たりなんですが、やはりギタリストのトレヴァー・ラビンの方も今一度褒め称えたいと思うのです。タイプ的にはそんなに当時としても新しくなくて、どちらかと云えばオーソドックスなハードロックギタリストなんだなフレーズとかスケールもねと認識しておるのですが、当時主流のカッチャーンチャッキーンの導入や印象的なハーモナイザーの使い方とかやはり革新的であったのです。でもこの方向性は機材に頼る部分も多くて行き止まりになっちゃった感もありますね。大量の機材をスルーしてギター原音で弾いたら「やっぱり生はいいやねー」ってなりがちですからね。

 

・Peg / Steely Dan 1977

 ラリー・カールトンのソロからジェイ・グレイドンのソロに差し替わった経緯は諸説あります(なんだそうです)。もう真相は闇の中なんだと思います。それにしてイントロとかでフランジャーでぎゅわーんとなってるのはギターなんだろうか他の楽器なんだろうか。何となくギターの気もする。それはスティーヴ・カーンがやってるのかな。シングルノートのバッキングも。聴けば聴くほどに奇跡的に成り立っている曲なんだと実感します。ワタシなんぞに云われたかぁないだろうけど変わった曲だなーって毎度毎度思うのです。これは宇宙人による宇宙人のための歌かも知れない。きっとそうだ。

 

・Sphere of Innocence / Allan Holdsworth 1992

 エンディング曲。実はこの曲を弾いているアラン・ホールズワースこそが最も変わったギターを弾く人かも知れない。今回は最後にたっぷりと聴いて戴きました。それにしても変わってるよねー。1982年にこの人のアルバム(当時まだレコード)『i.o.u.』を聴いて以来、ワタシの永遠のアイドルの一人になりました。こんな風に弾けるようになりたいな、って今でも思っています。

 

お楽しみ戴けましたでしょうか。

次回は8月21日(日曜日)がワタシの出番です。

よろしくお願いします!