先日惜しくもお亡くなりになった野村克也さんの本を2冊ほど読みました。
右の方は古書。
1984年に朝日新聞社から発行された『組織戦の時代 プロ野球 野村克也の目』。
1983年3月から84年2月までの野球評論を集めた本です。
この時期はワタシがプロ野球の面白さにどっぷりハマりつつあった頃で、今読んでみると大変に懐かしく思える内容ばかり。
大洋ホエールズの監督は関根潤三さん。
高木博、基、トレーシー、レオン、田代、長崎、平松、遠藤、斉藤、早乙女、辻なんて名前がぞろぞろと出て来る。
それだけでも満腹であります。
原、田淵、落合、江川、西本、松本、スミス、東尾、小松、藤田平、中尾、田尾、松沼兄弟、みんなみんな現役の時代。
槇原、荒木大輔、ドカベン香川などまだ売り出し中。
37年前なのですがやけにハッキリ覚えているのであります(当時ワタシは暇人だった)。
それと同時にノムさんの文章(語り口)が非常に洗練されていて難解なポイントも判り易い例を挙げて明確な解説をされていることに改めて驚きました。
この集積が後にヤクルト監督としてリーグ優勝5回日本一3回と結実するのだと納得致しました。
山藤章二さんの装画もグッときました。
そしてもう一冊は2017年に詩想社新書から発行された『プロ野球奇人変人列伝 我が愛すべきプロ野球選手たち』。
古今東西52人に日本プロ野球選手を一人一人ぶった切っておられます。
自分が深く関わったり手塩にかけた選手達には中辛、甘口。
そうでない選手達には毒がたっぷりと。
中にはちょっと気の毒だなと思われるくらいに毒を盛られている人もおられます。
(話は前後しますがそのノムさんが広岡さんのことを「猛毒を吐く」と云っておられたのが愛おしいです)
そして先出の1984年の本でもこちらの本でも同じように書かれているのがはやり長嶋茂雄さん。
その特異性を何十年も同じように説いておられる。
ひまわりと月見草。
でも長嶋さんを物凄く愛していらっしゃったんだと思います。
もう一人愛しておられたのが新庄剛志さん。
毒もみんな愛になっちゃう。
そんなノムさんは2020年2月11日にお亡くなりになりました。
享年84歳。
幼少期のとんでもないところからのスタートで日本を代表する選手となって更に大監督となって、その合間合間にとんでもない紆余曲折がいっぱいあって。
ノムさんのこと好きだった人もそうでなかった人もいっぱいいるでしょうが(1990年代はヤクルト監督としてワタシにもイヤーなおっさんでした)ノムさんは最後まであのノムさんでした。
愛と野球に生きた人。
ノムさんのご冥福を心からお祈りします。
ありがとうございました。