0の殺人:感想 | しのぶーのブログ

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あらすじ

物語の冒頭に置かれた〈作者からの注意〉に、驚くべきことに、奇妙極まりない殺人劇の容疑者たち四人のリストが公開されている。この大胆かつ破天荒な作者の挑戦に、果してあなたは犯人を突きとめられるか?ご存知、速水警部補と推理マニアの弟と妹が活躍する、異色の傑作長編推理。

(byアマゾンのページ)



8の殺人に続く、ハゲタンク活躍作。

前作同様、今作も軽い。非常に読み易い。


内容は、推理小説らしい推理小説。

物語の論理性や登場人物たちの会話の中にある何気ないヒントを見つけていくような作品ではなく、

「推理小説でこういった状況が書かれていれば、大抵の場合はこうだろう」

という読み方が出来る作品。

これまでに推理小説を読む量が多い人ほど、この作品は物足りなく感じる、という一風変わった作品に仕上がっている。


前作、0の殺人では最後の詰めが少し甘かった本作の名探偵:ハゲタンクの弟:慎二が今作では化けている。

実際の現場を見ず、ハゲタンクからの情報だけを元に推理を展開するという、安楽椅子探偵としての地位を着々と築いている点が面白い。シリーズ物で、探偵役が作品の中で成長していく作品はなかなかないように思う。


本作冒頭に、「作者からの注意点」と題した、「読者への挑戦状」がある。

推理小説を読みなれている人ならば、この「作者からの注意」に様々なヒントがあることが分かる。

読みなれていない人、物事を素直に受け止める人は、どんどん作者の罠にはまっていくように思う。

『極めて簡単な問題ですからほとんどの人は、終幕前に真相を見破られることでしょう―ほとんどの人は』
と作者からの挑発があるため、短気な人も罠にはまるのかも。

とても「殺戮にいたる病」を書いた作者と同じ作品とは思えないほどに、作風が違う。

色々な作品を読んでみたいと思える作者に出会ったように思う。


読んでよかった度 :☆☆☆

もう一回読みたい度:☆☆

木下の名前が登場しないのか…度:☆☆☆☆☆