嫁が図書館に本を返しに行くというから、急いで読んだ作品。
あらすじ
ブルートレインの中で殺人事件が起こり、被害者の女性が持っていたルビーがなくなっていた。そして、被害者の別居中の夫が容疑者となった。彼は犯行時間と思われる時間に、妻の客室に入るところを目撃されていた
(byウィキペディア)
第2章ぐらいまで読んで、『あれ、これ短編集か?』と思ってしまうくらい、ポアロとは関係なさそうな展開が続く。
(よく考えたら、ポアロは探偵だから怪盗をやっつけるような仕事もしているのだろうけど)
それからも様々な人物が登場してからようやくポアロが登場し、殺人事件が起こる…。
今回のポアロは、コネや人脈、はたまた脅しめいた文句で謎の核心に迫っていく。灰色の脳細胞を駆使してきたこれまで読んだ2作品とは少し様相が異なるかな。
人格的に破綻した麻薬中毒者であろうが、もじゃもじゃ頭をかきむしる風体異様な男だろうが、探偵は謎を解きさえすれば手段は問わなくていいと思っているので、個人的に満足。
一つ残念に思うのは、怪盗話はなくても良かったかな。
よけいな登場人物を増やしたせいで、肝心のトリック解明部分がおろそかになっている。
誰かが嘘をついていることを前提に、一つ一つ検証していかないことには今回の謎は解けないので、小説に書かれたトリックとしては上級な部類に入ると思う。
この話を映像化してしまうと、殺人のシーンや回想シーンなどで無理が出そう。登場人物の証言をもとに犯人を自分の頭の中で推理する推理小説ならではのトリック。
アガサクリスティ特有なのかポアロ物特有なのか分からないが、関係者達が嘘をつきすぎ…
たまには誰か一人くらい、洗いざらい正直に全部を話してくれないものか…
まあ、全員が正直にありのまま全てを話したら、そもそもミステリとして成立しないのだろうけど。
読んでよかった度 :☆☆☆
もう一回読みたい度:☆☆
トリック満足度:☆☆☆☆