『牯嶺街少年殺人事件』を久々に見た | 人間の大野裕之

人間の大野裕之

映画『ミュジコフィリア』『葬式の名人』『太秦ライムライト』脚本・プロデューサー
『チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦』岩波書店 サントリー学芸賞受賞
日本チャップリン協会会長/劇団とっても便利

エドワード・ヤン監督『牯嶺街少年殺人事件』を久々に見ました。大学生の頃20年以上前にはじめて見たときは、誰が見ても傑作だとわかりましたが、少し反発もありました。少年がエロティックに撮れてるのはいいけど、ゴダールみたいに女優をかっこよく撮ってほしいなあ、という青臭い感想ですが。しかし、改めて見て、やっぱりいいなあ。感慨深いものがありました。ロウソクをふっと消して、暗闇から懐中電灯で殺しが始まるところとか。ああ映画やなあ。
一度だけ、エドワード・ヤン監督を京都案内したことがあります。「なにか食べに行こう」あわてて高級和食に電話しようとしたら、「寒いね。ラーメンにいこう」と。木屋町下がったところの長浜ラーメンにいきました。ラーメンをおごってくれて、いいんですか?と言うと、「僕が払うよ。君たちは僕の子供だから」忘れられない言葉です。もう亡くなってだいぶ経つのですね。

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