老婆 プリア・カン④
迷路のような伽藍の内部。
光が差し込むほうへと歩くと、そこは南国特有の強烈な日差し。
右下に見えるのは、寺院の一部をなしていたであろう、石材たち。
無残に瓦礫の山のように積まれていました。
アンコールでは、よく見かける光景です。
かつてこの石たちも、この日差しを浴びて、アンコールの大地に
聳え立っていたのかと思うと、不思議な感覚に陥ります。
☆
境内は数名の観光客がいるだけ。
他の有名寺院と比べると、圧倒的に人気が少ないプリア・カン。
静まり返った境内を彷徨っていると、ひとりの老婆と出会いました。
短く刈られた頭髪、身にまとった装束から、尼さんのようにも見えます。
何かを話しかけても、ただただ、はにかむだけの彼女。
刻まれた顔の皺。
穏やかな表情。
年を重ねた瞳は、何かを悟ったかのように、静かに遠くを見つめていました。

