Welcome, Your only orders. -48ページ目

ブランドリング修理02 ブルガリビーゼロワン 完了

前回下準備したパーツ同士を合わせ、
内部に仕込んだロウ材を融解させる為、再び加熱しました。


加熱による若干の地金の変色が見られますが、
酸に軽く浸すだけで元の地金の色に戻りますのでご心配なく。

さぁ、これでガッチリと二つのパーツがロウ付けされた筈です。


接合箇所は見えない内側ですので残念ながらご紹介できませんが
肝心のバネ状に可動する機構もこの様に。

本来の機構通りに問題なく広がり、押し込めば縮みます。
まさしくバネですね。



この修理の作業は、強い炎にリングを晒しての溶接の連続です。

炎での加熱により、部分的に加えた「融点の低いゴールド」を溶かして
必要な箇所を溶接して参りましたが、うっかり不必要な所まで加熱してしまったり
必要以上に高温にしてしまうと失敗してしまいます。

ここでの失敗とはつまり、高温加熱によって金属が「焼きなまされる事」です。
それは金属が弾性、張りを失い、力を加えるとグニャりと曲がる状態の事を指します。

このリングで仮にそうなってしまうと、バネの様に動く機構がダメになります。

最大の特徴といえるそれがダメになってしまうともうリカバリーできませんので
修理作業者としてはとても扱い辛いものなのかと思います。

さて、それらを防ぐためには「加熱時の熱を如何に逃がすか?」
頭で考えるのも重要ですが、「熱伝導をビジュアルでイメージする」事が肝要かと思います。
そのイメージが肉眼との視覚と重なる時、失敗なく事が進むのかと。

あ、難しい事言ってる様に感じるかもしれませんので少し解説を。

小学校の頃理科の実験でやった「熱伝導」のアレ。
銅版に蝋を薄く塗ったものをアルコールランプで熱すると
どの様に熱が広がっていくか?蝋が溶ける雰囲気を見て確認しよう!というのと
全く同じです。多少解りやすくなったでしょうか?

という訳で無事接合が済みましたので、
軽く磨いてこの様に。

多少の傷は、ヘラという「とても硬い金属を滑らかに磨いた棒」を傷付近に押しつけ、
撫ぜる様に動かせば、傷を含めた面の凹凸が均され、比較的平滑な面になります。
スベスベの粘土細工を作る時と同じ要領ですね。


新品同様とまではいきませんが、
ネガティブな要因が全て取り払われ、修理作業は完了。
先様にも大変喜んでいただけました。


日頃、色々なものをデザインから製作まで手掛けていると、
見た目のデザイン以上に「作り」に対して敏感になります。

「作り」とは実際の設計という意味以上に
「どうやって作るか?作ったのか?」という事を含みます。

こういった日々の中で総合的に蓄積されていった知識そして経験が、
結果的にこの様な「修理」という余技を産みだすのは自分でも面白いなぁと思います。

「デザインする為には作りも解らなくてはいけない」とは、どの製造業でも言われる
至極当たり前の事かと思いますが、その理解が深まると時にはこの様に手も動くものなのかと。

自分では未だに「デザイナー」と思っている節があるのですが、
毎回ブログでは技術寄り…今回はよりコアに掘り下げた記事としてみました。

今後は「技術者」としてもさらに探求していきたいと思います。
宝飾製作の道を目指す方も含め、業界の一助になれば幸いです。

一般の方もプロの方も、またはその中間にある方も
何かお手伝いできる事があれば、どうぞご一報下さいませ。


ONLY ORDER |