父の左官の仕事は冬になって水が氷るようになると出来ない。それで、家に父がいるようになった。
ぼくは時々、父がもっているトラロープと呼ばれるの黄色と黒の模様のあるロープで命綱を縛る練習をした。結び方を書いたプリントをもらっていたので、プリントを見て正しい結び方か確認する。命を預ける綱なのだ。父の話ではトラロープは滑るのだと言う。たしか、講習のロープは普通のロープだった。
テレビの天気予報を気をつける。ネットでも確認する。テレビのデータ放送を利用する。天気予報を見る方法はいくらでもあった。で、分かったがそれそれ違う予報をする。
うーん、だけど、12月も中旬だ。雨の日が続いていた。
だが、そろそろ雪が降るようだ。地球温暖化の影響で、冬でも暖かいほうの日が続いたが、降ればドカ雪になるという。
ぼくは、紙の秋田市の地図を買った。書店で結構高いものだった。秋田市のどこにB連合から行くように指示されるかわからないからだ。
そして、明日から雪が続くのでないかという予報がテレビの天気番組でもされた。どこのテレビチャンネルのデータ放送もネットのヤフー天気でもそう、予想された。
除雪ボランティアの出動がかかるか? とぼくは予想した。寒くない仕事ができる服装。防寒靴でなくて、冬用の長靴、そして笛。そして、何かの時の現金。ぼくは水沢にも聞いていつどこに行ってもいいように用意した。
夕方に雪が降り続くようになった翌日、ドカ雪になった。
水沢から電話があった。出動がかかるかもしれないと。除雪をするとしても、相手の同意とかいろいろな手続きとかがあるらしい。
そして、倉木さんが迎えに行くという電話が水沢からあった。やっと、除雪ボランティアの仕事ができる。無報酬だが。
それで、倉木さんに連れられたところは、小さい小路だった。その家の前の道路を除雪する。屋根に上がらない仕事らしいことから安心すると同時に残念にも思う。
5人ぐらいのメンバーで家の前の雪を軽トラックに積む。軽トラックは2台体制だった。市役所から借りたものとBグループのメンバーでチリ紙交換屋をしているという人の軽トラックに交互に雪を積んだ。
「おにぎり、みんな、おにぎりよ~」と言って、女の人がおにぎりを配ってくれた。5人ぐらいで昼までには小路の家の前の道路は除雪が終わった。
ぼくは不法者だった。水沢もいたが、他の3人の人とぼくは初対面だった。それで、自分の名前を名乗った。ああ、新入りだったのかというように理解してもらえたようだ。
もう作業は終わり。B連合でふるまうおにぎりを食べる。女の人からおにぎりを受け取って食べた。
「あなた、イケメンね」と言って、おにぎりをくれた人がぼくの頬にキスをした。ぼくは驚いた。
「あなたはゆうこさんですか?」
「わたしのこと、知っているんだ」
なんだか、わからないまま、家に帰るのに倉木さんがおくってくれた。