ぼくの家の仏壇は父が作ったものだった。それで、寺の墓には墓石がなかった。

ぼくの父方の祖父母は父が中学生のころに亡くなったとは、聞いていた。

そして、親戚とうまくいかなかったらしい。それで、墓に墓石がなかった。

 

それが、弟の死亡保険金が入った。その金で墓石や仏壇を買った。

まだ、それでも弟の死亡保険金は残っている。それで小学生だった弟がパソコンが欲しいと言ってきた。

だが、そのパソコンは新聞についてくるチラシの大型家電店の物ではダメだという。弟はEゲーマーになりたいという。そのための高スペックなパソコンが欲しいということだった。

パソコンだけでなく、ウェブカメラといった周辺機器もほしいと言う。

「ぼくがもっと、立派な家を建て直してみせる」とも弟は親に言った。Eゲーマーやユーチューバーになってみせるという。

ぼくも親も、Eゲーマーが競技しているニュースを見た覚えがあった。子供になりたいものに、ユーチューバーがランクインされる時代だった。

それは成功すれば、億単位の年収を稼げる。ぼくはスマホのジェミニで確かめた。

母もパソコンは欲しいようだった。母の場合は仕事で使う。それで分かったのだが、仕事で使うためのパソコンよりゲームで使うためのパソコンのほうが高いようだった。

父は機械音痴だった。父の使っているスマホの電話帳の登録をぼくがさせられていた。

それで、ぼくにもパソコンを買ってくれるということだった。それで、弟の葬式も落ち着いてから、ある日曜日に母と弟とぼくの3人でパソコンショップへ出かけた。

弟はほしいパソコンや周辺機器のメモをもっていて店員さんと相談して買った。結構な金額になった。母は仕事に使えればいいということで、8万円ぐらいのノートパソコンを選んだ。

ぼくはユーチューブとかが見られれば十分なので、母と同じパソコンにしようと思った。だが、弟はゲフォースというグラフィックボードがついたもののほうがいいという。それで20万円ぐらいのノートパソコンを弟は勧めた。

それは代金はぼくが出すのでない。母が母のカードで払う。弟の推薦したパソコンにすることにした。

「ああ、しまった」と何を買うか決めたあとで、弟が大声をだした。パソコンはプロバイダ契約をして、光回線の工事をしたあとでないと使えないという。

それで、店でプロバイダ契約をして光回線の工事も手配した。弟に工事をしなくともワイマックスというものを買えばいいのでないかと聞いたが、ゲームをするためには有線LANでないとダメな場合もあるという。それで無線LANであるWi-Fiも使えるようにすることもできると言う。Wi-Fiが使えるということなので、ぼくに異論はなかった。金を払う母も同意した。

家に帰り、店でもらった店のスタンプを押した領収書をパソコンとかの保証書に貼る。そして、弟はパソコンのセットアップは光回線の工事が終わったあとで、弟の友達にも協力してもらうことにするという。だが、母は自分のパソコンは会社でセットアップすることにしたという。

パソコンは買ってもらったものの、ぼくは来週の日曜日まで、使うのを待たないといけなかった。

それまでの数日前、光回線の工事の業者がきた。ぼくはいつも家にいるから、工事に立ち会った。光モデム、ルーターというものは弟の部屋に置いた。ルーターの位置とかは弟がパソコンのLANケーブルが届く位置に置いてほしいと言われたので、業者にその通りにしてもらった。

ぼくは後で、弟の言ったゲフォースが何なのかをスマホに聞いた。ゲームで高度なグラフィック画像を出すのに必要とされるらしい。

分かった。弟は自分のパソコンが故障したときにぼくのパソコンを借りたかったんだ。