命令は待機。わたしを運んだきたジェットヘリはそう時間もかからずに道路に着陸した。指示通り、乗り込む。
はじめの行先は人間工場と呼称される施設。冷凍されていた卵子や精子は廃棄されたので現在は稼働していなかった。正式な名称は違う。
わたしはそこのロボットに採取した皮膚をいれた保存キットを渡し、わたしの喉の保冷室に送りこんだ精液を取り出す処置を受けた。これで、わたしの任務は完了。
そして、わたしが所属する部隊のある基地へジェットヘリで移動した。
「なんです? ジェシカ、その恰好で任務に就いていたのですか?」と教官ロボットに咎められる。この教官ロボットよりわたしの方が製造されたのが早い。だが、わたしを教育するためのロボットだ。
「殿方を訪ねに行くという任務に素っ裸で行ったのですか?」
「わたしはロボットだ。ロボットが服を着ているほうが、おかしくないか?」
このウエストサイドで残っている人間というのは、わたしが探した人間だけだろう。出発前に服を着ていなくとも何も指示されなかった。それに任務服だって、渡されていない。任務服というものがなぜあるかというと、諜報任務中のロボットが活動中に他の諜報ロボットにも味方だと分からせるために着る服だった。仲間の身内にも秘匿しないといけない任務の場合は着ないが。
「そうでしたね。任務服を渡していませんでしたね。わたしもあなたの任務をよく理解していませんでした」
わたしはわたしの上司のロボットに帰隊したことを報告して、任務は果たしたことを報告した。形式的に報告したが、上司ロボットはわたしがなにをしているかは、わかるはずだった。
それで上司ロボットは任務服はあとで支給する。そして、居室で回路を休めるように指示された。そして、わたしがもっている二つの私物を眺めて思索するようにも指示される。
わたしの階級は下士官だが、人間の将校が使わされていたような宿舎を与えられていた。
そして、指示とおりわたしがもっている私物、指輪とイーストエリアの人間の兵士がもたされていた非常用のチョコレートを眺めて、それに関連する情報を思いだす。なぜ、この人間であれば、思い出の品を見て過去の思い出に浸るということをロボットのわたしが命令されてしなければならないのかは分からなかった。だが、指示通りにする。
指輪は味方の兵士からプレゼントされた兵士の給料の3か月分の値段がする指輪で、チョコレートは任務中に敵の少年兵から自分の名前と住所を書いた紙のメモといっしょにもらったものだった。
わたしは17歳の年齢とされる外見の女性型ロボット。人間がいなくなったとしても服を着ているべきなのだろうか? だが、教官ロボットの指示通りにしよう。
それで自室のコンピューター端末を自由に使っていいとわたしは送信されてきた。上司のロボットの指示だ。
戦争は終わった。この部隊に人間はいない。この国の人間は上のコンピューターの指示で殺しまくられてしまった。わたしはなにをすればいいのか? また、あの引きこもり男のところへ行かされることになるのか? 精子がまだ必要だとすれば、今度行かされるのは慰安ロボットでないのか? 居場所は特定できたのだし。