話は昭和62年にもどそう。ぼくは市役所で働き始めた。だが、正職員の人から、ぼくは厄介に思われたと思う。

なぜか、ぼくにジュースをおごるという人がいた。ぼくは遠慮した。ぼくはそういうところがあった。その人はしつこく言ってきたが、断りとおした。そしてその後、

「作業員が死んだことはちゃんと調べないといけない」と一人事を言ったように聞いた。ぼくはなんのことか分からなかった。

ぼくが与えられた椅子は課長の席の前だった。ぼくが座った椅子の後ろに課長、二人の課長補佐の机がある。

「がちっとやれ。がちっとやれ」と課長は言っていた。ぼくをか? どうも回りの人がぼくを知っているようだった。親切にしてくれる人が多かった。

ぼくがしでかしたことを考えると課長の言うことをそう考えることはなかったと思う。課長は精神に変調をきたそうとしていたのかもしれない。事務の仕事って、そういうもののようだ。そして、公務員だ。

ぼくは市役所で働くことになって、いまでもとてもよかったことがある。口の虫歯の治療を徹底的にできたことだ。臨時雇いは夕方5時には役所から帰れる。というか臨時雇いは残業したらいけないらしい。そして、役所の近くには歯医者があった。金歯を被せるような治療をしたので、給料をほとんど治療費に使ってしまったこともあるが、虫歯を徹底的に治療したことは40年後のいまになっても、よかったことだった。