村上康成の世界展 | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】

静岡のちえこです。

 

三島市にある佐野美術館で開催されている「村上康成の世界展」に行ってきました音譜音譜音譜

 

これまでに230冊の絵本を生み出してきた村上康成さんの代表作絵本の原画が展示されています。

佐野美術館玄関横にパネル看板があり、ここだけ写真撮影ができました。(館内は撮影禁止でした)

 

 

2階展示室に入る前に、大きな作品がありました。

これは、三島での展示会に当たり、6月15日 来館イベントとして村上康成さんが小学生にワークショップ開いて下さり完成した作品です。子どもたち18名が、それぞれ三島近隣に生息する生き物の形を黒い紙で切り抜いて、その中に生き物が食べていると考えたものを絵の具で描きこんでいきました。子どもたちは、自分の作った生きものを村上さんが準備された風景の中に配置しました。完成したのは横長の大きな作品です。

 

作品のタイトルは「命かがやく」

真正面には、村上さんが描かれた富士山、川の流れに添い、子どもたちが作った生き物たちが貼られて、横長の大きな共同制作の作品となりました。とても見応えがありました。

 

村上康成さんの勢いある線で描かれた絵に、子どもたちがのびのびと表現した生きものが添えられ、大きな紙面いっぱい三島の風景になっていました。

 

 

さて、展示室に入ると、たくさんの原画が展示されていました。

平日に訪ねたので、絵本のお話と絵を照らし合わせてゆっくりと原画を観ることができましたウインク飛び出すハート

 

 

自然派アーティスト 村上康成さんの絵本作家デビュー作となったのは『ピンク、ぺっこん』です。

 

 

『ピンク、ぺっこん』

村上康成/作・絵

徳間書店 2000年8月

 

春に生まれたばかりのヤマメの子の名前はピンク!きれいな川で元気に大きくなっていきます。ピンクは、危ない目に逢いながらもハプニングを乗り越えます。その陰に優しさもみられます。

 

展示室には、ヤマメのピンクシリーズ『ピンク、ぺっこん』『ピンクとスノーじいさん』『ピンク!パール!』『ピンクのいる山』『ピンクがとんだ日』の原画と5冊の絵本が順に並んでいました。ヤマメの成長、川で出会う生き物たち、川の流れや雲の流れ、空、山々に咲く花の美しさ、どれもが繋がりドラマを見ているようで生き物たちが自然の中で生きるたくましさを感じます。川の中をのぞいているような気持ちで読み進めました。ピンクのいる川に釣りをしたい男の子とおとうさんが登場。ピンクたちヤマメの視点と人間の視点の違いはどちらにとっても自然なこと、違う視点で見つめるストーリー展開も注目です。

 

 

 

村上康成さんがお孫さんの誕生を機に描かれた絵本はこちらです。

青い空に白いちょうちょのコントラストが鮮やかな原画を観ることができました。

 

 

『しろい ちょうちょが とんでるよ』

村上康成/作・絵 

ひさかたチャイルド 2016年4月

 

ひらり ひらり しろいちょうちょがとんでいます。

お花のつぼみにちょうちょがとまると・・・

くすぐったい!

つぼみが花を咲かせます。

あか、あお、きいろ、ももいろ、むらさき、だいだいいろ

ぱっぱっぱっと開きます。

すると、お花のかげでお昼寝していたのは?

 

 

オノマトペの音と、繰り返しのリズムのある絵本です。

おさんぽしたら、こんな出会いがありそう!

最後の場面に空を見上げたくなります。

今日の空は、どんな雲が浮かんでいるかな?

 

 

佐野美術館「村上康成の世界」は、〈うみ・やま・かわに抱かれて 絵本作家のワイルド・アート〉がテーマの展示です。絵本原画とおはなしの世界は美術館にいながらも自然の中にいるような心地よさを感じました。

 

 

    

幼いころから自然の中で過ごされた村上さんの作品には、真っ青な空、木々の間を走り回る動物、清流をおよぐ魚、森へ遊びに来る人々、自然のゆるやかな時間の流れと空間が、私たちを絵本の中へ誘います。シンプルな色と形、余白を生かした画面構成、躍動感のあるページ展開が村上絵本の醍醐味です。

(村上康成の世界パンフレットより)

 

 

さて、今回の展覧会ポスターとなったのは、最新作の絵本『くまくんです。』(ひさかたチャイルド)です。草をかき分け、くまくんが「がさっ、」と出てきてこちらを見つめています。

 

 

 

『くまくんです。』

村上康成/作 

ひさかたチャイルド 2024年2月

 

冬眠から目覚めたくまくんは巣穴から飛び出します。

春が始まった森は、まだ雪が積もっています。

くまくんはおかあさんに教えてもらって木登りができるようになり、若葉など食べ物も自分で見つけられるようになりました。山にキイチゴが実り、本格的な春がやってきたころ、くまくんは側にお母さんがいないことに気づきます。ひとりで暮らしていく日が来たくまくん、出会いと成長の旅が始まります。

 

この絵本のあとがきに、村上康成さんはこんなことを書かれています。

 

夏の谷川でヤマメ釣りにいきました。お昼になって、おにぎりをリュックから出して、食べ始めた時のことです。

20メートルくらい離れた丘の草むらから

〈がさっ。くまくんです。〉とばかりに、ツキノワグマの子が現れました。顔のわりに大きな耳を広げ、きょとんとこちらを見ていました。おにぎりが,喉につかえそうでした。

 

この子ぐまは逃げていったそうですが、絵本に描かれている草むらから がさっと出てくる「くまくん」は、この時出会ったツキノワグマの子のイメージを再現したということです。あとがきの作者のことばには、くまの子離れ親離れについても書かれていて興味深いです。

お話と合わせて、あとがきも読んでみてくださいね音譜音譜音譜

 

 

来週は友人たちと一緒に佐野美術館を訪ねる予定です。

仲間と原画を観た時に、一人で行った時とは違う発見や気づきがあるかもしれない!と今から楽しみです。

 

 

佐野美術館「村上康成の世界」は8月4日(日)迄です。