オンライン絵本会の経験が共訳書『ハーバード流Zoom授業入門』を生みました | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】

こんにちは、ミッキーです。

今日は先月刊行した共訳書

『ハーバード流Zoom授業入門』

を紹介します。
え、オンライン絵本会と何の関係があるの? 。
なので、私がこの仕事をした理由を少しお話させてください。


ハーバード式Zoom授業入門 画像1

※出版社サイトはこちら ⇓



ご存知の通り、オンライン絵本会は昨年2月末のコロナ禍による全国一斉休校をきっかけに誕生しました。3月~4月上旬の1カ月間、毎日昼休みにZoomを通して絵本の読み聞かせを届けました。

絵本の読みは対面でなくてはなど、当初はオンラインに対する不信感も寄せられましたが、
私の思いは最初から変わっていません。

オンラインか対面かではない。
今の現状をまず受け止める。
対面はできない。
対面ができないなら、何もしなくていいの?

子どもたちの今という時間は二度と取り戻すことはできない。
今を、少しでも豊かにできるなら、
オンラインでも出来ることをしよう。



春休みが終わって新学期になっても、コロナの影響はとどまるどころか、
私の勤務する大学でも、春学期は全面的に非対面授業となりました。
外出できず、友達にも会えない状況の学生たちの心情を思うと、少しでも対面に近い形で授業をしてあげたい。
1カ月のオンライン絵本会での経験を自信に、リアルオンライン授業で臨みました。

とはいえ、オンライン絵本会のときは、MC,読み手、オンラインサポートなど複数名でチームを組んで運営したし、システムに強い友人のバックアップもありました。
授業となったら、これらすべてを教員一人でやらなくてはなりません。
しかも、オンライン絵本会の参加者はZoomに接続できた方を対象にすればよいのですが、学生の場合は取りこぼしがあってはいけません。PCが苦手な学生もいるし、学生一人一人の端末や通信環境も異なり、不具合も多発しました。

そんなときに相談にのってくれたのが、情報システム部のFさんです。
学内掲示板で質問を出すと、丁寧な個人メッセージが返ってきて、不具合のログをたどったり、アプリの仕様を一緒に確認したりして、1つ1つ解決していきました。
そんな問題を持ち込むのは、もちろん私だけでありません。いつのまにか、駆け込み寺に集まった先生方で学部を越えた有志のグループが、Teams上にできていました。
この有志のグループはチャレンジャーの集まりで、問題解決だけでなく、自分がやった授業の体験シェア、新しい機器やアプリの紹介などの情報交換が盛んでした。

その中で紹介されたのが、

ハーバード大学のダン・レヴィ教授による
Teaching Effectively with Zoomという本です。


洋書を取り寄せて読書会を行ったのですが、これが目から鱗、感動した先生方でなんとか日本語版を出したいと共訳チームが結成されました。

この本の凄さをひと言で表現するなら、学生が学びの中心に据えられていることです。    
学生が主体的な学びを行うために、どのような理念で授業準備をしたらよいか。
そのために、Zoomの機能をどう使ったらよいのか
同期と非同期の活動の組み合わせの仕方や オンラインコミュニティの作り方などの工夫がちりばめられています。


しかしなにより、

教育理念が先にあり、それを実現するために様々な機能を説明する。
その裏には豊富な経験や学生の生の声が随所に取り入れられています。

Zoomの機能やオンライン教授法についてのマニュアル本なら他にもある。
また苦労して翻訳しても、すぐに古びてしまうことでしょう。
 

しかしこれは、私たち教員はもちろん、コロナで急速に拡大したオンライン時代に学びあうコミュニティを構築したり参加する人たち全てにとって参考になる、長く使える本だと思いました。

共訳チームは全員が自発的に主体的に、得意な分野に手を挙げてプロジェクトが進みました。4学部の8人の教職員の中には、まだ一度も対面で会ったことのない人もいます。
仕事はすべてGoogleDrive, TeamsチャットやZoomなどで処理しました。
オンライン時代のタスクフォースの方法という意味でも新しい試みだったと思います。

ワクチンができても、

コロナ以前の世界に元通りになることはないでしょう。
オンラインの波は、教育の世界を確実に変えていくはずです。


変化の時代に大切なのは、

新しい機能に振り回されて右往左往するだけでなく
その裏にある理念(教育なら学生主体)を見据えて、

大切なものを守りながら、

新しい技術を使いこなしていくことではないでしょうか。
そういう努力を、ハーバード大学を始め世界中の先生方が模索している、というのがよくわかる本です。そして、それに共感した私たちが日本語版を送り出しました。

絵本の世界も同じです。
オンラインとかデジタル絵本とか、新しいものは色々出てきますが、
大切なものを見失わずに、新しいチャレンジを楽しんでいけるといいな、と思うのです。

いい本を届けたい
それは絵本に限らないことです
ということで、今回もまた絵本以外の話を長々としてしまいました……

お口直しに、やっぱり絵本と思う方は
ぜひ明日の「にじのひろば」にいらしてくださいね。