日本人にとって”ヴァイオリン”
というイメージは、どのようなかたちで
一般化していったのでしょうか?
そんな経緯を想像させてくれる、
一篇の詩があります。
『秋の歌(落葉)』
秋の日の
ヰ゛ィオロンの
ためいきの
ひたぶるに
身にしみて
うら悲し。
鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや
げにわれは
うらぶれて
そこかしこ
さだめなく
とび散らう
落葉かな。
フランスの象徴派詩人
ポール・ヴェルレーヌが20歳の頃、
1867年に発表した『サテュルニアン詩集』より。
上田敏による
翻訳詩集『海潮音』
としてこの詩が
紹介されたのは1905年のこと。
ヴァイオリンはここでは
「ヰ゛ィオロン」(ヴィオロン)
として紹介され、
秋風がヴィオロンを鳴らし
悲しみを胸に満たしながら
木の葉を散らす、
そんな様子を詩情豊かに
歌っています。
私たちの胸に詩情を
呼び起こす楽器として、
"ヴィオロン"という
全く新しいイメージが
登場した瞬間でもありました。
バッハ『G線上のアリア』
フリッツ・クライスラー演奏
による貴重な音源です。
柔らかくて美しい音色ですね!
当時多くの人たちによって
親しまれていた芸術は色褪せず、
今でも私たちの感受性を
磨いてくれます。
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